備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: AOP Networkについて

AOP(Adverse Outcome Pathways)に関する話。 ETCに出ていた以下のcompanion papers+αを読んで、AOPの理解が進んだので備忘録的に書いておきます。どちらもOpen Accessです。 ざっくり言うと、「AOPは個々に独立しているわけではなく別の複数のAOPsと関連し…

「傷はぜったい消毒するな」感想

どうして消毒してはいけないのか。それは、消毒によって細菌だけでなく人間の皮膚の細胞まで破壊され、さらに皮膚が乾燥してしまい、傷の治りが遅くなるから。また、消毒すると、皮膚常在菌が殺されて、その隙に病原性を持つ通過菌(例:黄色ブドウ球菌)が…

階層ベイズモデルを用いてバトルMCの強さランキングを作成する

誰が最強のMCなのか。MCバトル好きの間では常に議論になることです。 MCバトルの勝敗は、各MCの実力だけでなく、MCのコンディションやMC同士の相性、バトルの審査方法、会場の空気など様々な要因によって決まります。実力あるMCであっても意外な人物に惨敗し…

論文メモ: ヨコエビ Hyalella aztecaのゲノム

「底質毒性と進化毒性学のモデル生物:Hyalella aztecaのトキシコゲノム」 Poynton HC, Hasenbein S, Benoit JB, Sepulveda MS, Poelchau MF, Hughes DST, Murali SC, Chen S, Glastad KM, Goodisman MAD, Werren J, Vineis JH, Bowen JL, Friedrich M, Jone…

「ヒトゲノムを解読した男:クレイグベンター自伝」感想

ひと月くらい前に読了。 バイタリティに富んだ人間という一言に尽きます。 彼が海軍衛生兵としてベトナムへ従軍していた時の話。腹部に傷を負った二人の男が同時期に病院に運ばれてきた。ひとりは生きて当然だと思われたが、すぐに息を引き取った。もうひと…

論文のメモ: EDA・TIEについての最近の論文

最近出たEDA(Effect-Directed Analysis)とTIE(Toxicity Identification Evaluation)に関する論文。 「底質の複雑な毒性の診断:TIEとEDA」 Li H., Zhang J., You J., 2017, Diagnosis of complex mixture toxicity in sediments: application of toxicit…

海外ポスドク目指しての就活 ~公募アプライ編~

この時の続き。 この秋Marie-Curie FellowshipとCanon European Fellowshipに応募しましたが、12月中旬にCanonからはお祈り通知が来ました。Marie-Curieもおそらくダメだろう、ということで12月末から公募を探し始めました(遅い)。で、実際Mari-Curieはダ…

Marie-Curie fellowshipの結果が返ってきたよ

結果は惨敗。サクラ散る。 Marie-Curie Individual fellowshipはEUがお金を出しているフェローシップです。獲得すると、日本の大学教授並みの給料がもらえ、プラス旅費と家族手当、研究費が手に入り、同業者から一目置かれる(であろう)高ステータスなフェ…

相互情報量ベースのネットワーク分析 using R minet

先日WGCNA(Weighted Gene Coexpression Network Analysis)を試しに使ってみました(この記事 → 論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用)。しかし、遺伝子発現のデータは別に直線関係ばかりではないので(最近読んだ論文のメモ: omicsデータの用量応答…

論文のメモ: omics technologyとAOP

AOP(Adverse Outcome Pathways)の構築に、網羅的な生物応答の解析技術(omics)を用いて何ができるかというお話し。omicsの中でも特にtranscriptomicsについて。 「化学物質リスク評価へAOPを適用するうえでomicsの果たす役割」 Brockmeier EK, Hodges G, …

論文のメモ: トンネル洗浄水による遺伝子発現変動

「交通関係の汚染に曝露されたブラウントラウトの肝臓の遺伝子発現プロファイル」 Meland S, Farmen E, Heier LS, Rosseland BO, Salbu B, Song Y, Tollefsen KE, 2011, Hepatic gene expression profile in brown trout (Salmo trutta) exposed to traffic …

論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用

重み付き遺伝子共発現ネットワーク解析(WGCNA; weighted gene co-expression network analysis)のはなし。 「遺伝子共発現ネットワークによるDaphniaの繁殖影響予測」 Asselman J, Pfrender ME, Lopez JA, Shaw JR, De Schamphelaere KAC, 2017, Gene co-e…

去年の振り返りと2018年にやりたいこと

2017年の振り返りと、今年2018年にやりたいこと。 2017年は 、学位取得後ポスドクとして過ごした初めての年でした。ただ所属は変わってないこともあって、正直まだまだ学生気分で適当にやってます。2017年の始めに書いた目標(去年の振り返りと2017年にやり…

論文のメモ: Zebrafishのマイクロアレイメタ解析

「化学物質曝露後のゼブラフィッシュ胚のトランスクリプトーム:メタ解析」 Schüttler A, Reiche K, Altenburger R, Busch W. 2017. The transcriptome of the zebrafish embryo after chemical exposure: a meta-analysis. Toxicol Sci, 157 (2), 291-304. …

論文のメモ: ヨコエビの巣穴潜り

ヨコエビは負の光走性だが、産まれたばかりの個体は正の光走性だと前回の論文にありました。自分の飼っているヨコエビは歳をとるほど穴に潜らなくなるので、てっきり逆かと思ってました。この現象に光走性は無関係で、別の要因が関係しているのかも。 「底質…

論文のメモ: 最近読んだヨコエビ系の話(共食い・光走性)

ヨコエビが出てくる論文。生態毒性と関連するのもあったり、なかったり。 「抗うつ剤はヨコエビを光の方へ向ける」 Guler Y, Ford AT, 2010, Anti-depressants make amphipods see the light, Aquatic Toxicol 99:397-404. 選択的セロトニン再取り込み阻害作…

論文のメモ: 底質の金属毒性

「底質中の金属毒性の予測」 Simpson SL, Batley GE, 2007, Predicting metal toxicity in sediments: a critique of current approaches, Integr Environ Assess Manag 3:18-31. 総説。以下に簡単なまとめ。 底質の金属毒性を考えるときは、生物種による違…

「破壊する創造者」感想

生物ってなんでもありだな、というのが一番の感想。 進化は突然変異と自然選択だけではなく、共生発生や異種交配、エピジェネティクスによっても生じる。そしてウイルスは共生発生による進化の大きな推進力になっている。端折りまくった本書の概要は、おおよ…

論文のメモ: 外来鳥類の定着成功を決めるのは?

「成功した侵略種の生活史を解明する」 Sol D, Maspons J, Vall-Llosera M, Bartomeus I, García-Peña GE, Piñol J, Freckleton RP, 2012, Unraveling the life history of successful invaders, Science 337: 580-583. ここ最近読んでいたinvasion success…

論文のメモ: 外来種と化学物質汚染 その2

前回の続き。前回は、外来種の方が高い汚染耐性を持つという報告を中心に見ましたが、今回はその逆の話。 「在来種の二枚貝は外来種より耐性が高いのか?」 Faria M, López MA, Díez S, Barata C, 2010, Are native naiads more tolerant to pollution than …

論文のメモ: 外来種と化学物質汚染

外来種って応用的な問題であって、純粋科学の扱うトピックではないと勝手に思ってましたが、そんなことないかも。壮大な野外実験だと思えば、結構面白い。 「侵略種はランダムに選ばれているわけではない」 Karatayev AY, Burlakova LE, Padilla DK, Mastits…

論文のメモ:ヨコエビ飼育のための人工海水の素

「汽水産端脚類を用いた慢性非致死底質バイオアッセイ」 Emery VL, Moore DW, Gray BR, Duke BM, Gibson, AB, Wright RB, Farrar JD, 1997, Development of a chronic sublethal sediment bioassay using the estuarine amphipod Leptocheirus plumulosus (S…

論文のメモ: メタゲノム情報の保存庫としての貝殻

気晴らしで読んだ論文。 「メタゲノムアーカイブとしての貝殻」 Coutellec MA. 2017. Mollusc shells as metagenomic archives: The true treasure is the chest itself. Mol Ecol Resources 17(5): 854-857. Der Sarkissianら (2017) の解説記事。貝殻のDNA…

TSAに登録する際のmultifastaファイルの編集

NGSで読んだcDNAをデータベースに登録するとき、生配列はSRA(Sequence Read Archive)だけど、アセンブリ配列はTSA(Transcriptome Shutgun Assembly)という区分だそうな。 提出するfastaファイルは以下の形式に則っていないとダメだそうです。 >CLN01 <--…

論文のメモ: 遺伝子ネットワーク推定とAOP

マイクロアレイやRNA-seqのデータから遺伝子間の関係(ネットワーク)を推定し、有害物質によって引き起こされる悪影響adverse outcomesのメカニズムを明らかにしようという研究について。 「システム生物学アプローチによってNarcosisのCa依存メカニズムを…

論文のメモ: 水生生物の体内に蓄積した金属の細胞内局在と毒性影響との関係

このへんの論文と関係ある話。体内の全蓄積量よりも、解毒された量を除いた画分の量の方が、毒性影響に関係しているのではないかという話。 「二枚貝におけるCd・Znの細胞内局在:MSFとBDMの重要性」 Wallace WG, Lee BG, Luoma SN. 2003. Subcellular compa…

論文のメモ: 侵略的外来種なヨコエビの話

「侵略的ヨコエビになる方法:生活史形質の比較」 Grabowski M, Bacela K, Konopacka A. 2007. How to be an invasive gammarid (Amphipoda: Gammaroidea)–comparison of life history traits. Hydrobiologia 590(1), 75-84. ヨーロッパにおける旧ヨコエビ亜…

論文のメモ: 環境毒性分野での遺伝子発現データと機械学習

マイクロアレイやRNA-seqの遺伝子発現データから、機械学習を使って情報を引き出す話。例えば、発がん性物質に曝露したデータと曝露してないデータを与えて、発がん性の有無を識別できる遺伝子(バイオマーカー)を探索する研究などがあるかと思います。昔こ…

第23回環境毒性学会@東洋大

参加してきました。 面白い発表もあり、自分のポスターでも多くの人と深い議論ができて充実感がありました。ただあんな成果0の発表で賞をいただいて、申し訳ないです…。最後の海洋汚染に関するシンポジウムは所要のため参加できませんでした。 増えすぎても…

新モンスターになって欲しかった人 @フリスタダンジョン

フリースタイルダンジョン。2代目モンスターがようやく全員発表されましたね。 2代目もバランスの取れた良いメンバーだと思いますが*1、もう少し幅のある人選を期待してました。初代は漢とかサイプレス上野とか、楽曲面や人望?で既にプロップスを得てる人が…