a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

底質

論文のメモ: 底質汚染に対するヨコエビの感受性

論文のIntroductionに「底質汚染に対するヨコエビの感受性は高いよ」と書こうとしたけど、意外と根拠になるデータがぱっと思いつかず…。正当化できそうな論文を探してみました。 今更ながら。古い論文多め。 「サンフランシスコ湾のDDT・ディルドリン汚染地…

論文のメモ: 下水中の薬品・科学論文の書き方など

Editorialなど、最近読んだ短い文章をいくつか。 2016, Using waste water to flush out drug dealers, Nature, 537 (7620), 280. 違法ドラッグの使用を調べるために下水を使うというのが面白いです。自分の学科ではPPCPや大腸菌の挙動調査に下水が使われて…

論文のメモ: 底質環境における金属の毒性 ~bioaccumulationとの関連~

底生生物への金属の毒性と、bioaccumulationとの関連。粒子態の金属の寄与、dietary exposure routesの寄与をどう考えるか、そのへんの問題に対するヒントを探る目的で読んでみました。 「水生無脊椎動物における金属の毒性・摂取・蓄積―甲殻類における亜鉛…

論文のメモ: 底質試験における細粒分の影響

底質試験はふつうの水系の毒性試験に比べて交絡因子が多くなりがちです。細粒分含有率もそのひとつ。 似たような話はこのへんにも。 「カイミジンコを用いた底質試験における細粒分の影響」 Casado-Martinez M.C., Burga-Pérez K.F., Bebon R., Férard J.F.,…

論文のメモ: ヨコエビの曝露試験による環境底質の汚染評価

急性致死影響が出ないレベルの汚染底質を主な対象として、ヨコエビの曝露試験を実施した論文たち。古典論文多め。 「非汚染底質におけるヨコエビと二枚貝の成長」 Nipper M.G. and Roper D.S., 1995, Growth of an amphipod and a bivalve in uncontaminated…

最近読んだ論文のメモ: 底質の性状と重金属の繁殖阻害毒性

「底質の特性と摂食曝露によって説明される銅の非致死毒性」 Campana O., Simpson S.L., Spadaro D.A. and Blasco J., 2012, Sub-lethal effects of copper to benthic invertebrates explained by sediment properties and dietary exposure, Environ. Sci.…

最近読んだ論文のメモ: 底質のTIE (底質抽出画分をスパイクする場合)

「底質と底質抽出物の毒性評価」 Wiklund A.K.E. and Broman B.S.D., 2005, Toxicity evaluation by using intact sediments and sediment extracts, Mar. Pollut. Bull., 50(6), 660-667. パルプ工場付近の底質の毒性を、ヨコエビMonoporeia affinisによっ…

最近読んだ論文のメモ: 類似度のグループ間比較法について (perMANOVA, ANOSIMなど)

前回に引き続き、類似度のデータ解析方法を勉強中。特に生態学分野での、群集間における種構成の比較法。どれもあまり真面目には読んでません。 色々読んでると、類似度を算出するためのデータ前処理法が結構バラバラです。log変換、2乗根変換など。 「ヤナ…

最近読んだ論文のメモ: bioavailability考慮したTIE・底質関連の細菌群集・在来種を用いた毒性試験

「中国南部の都市河川底質におけるTIE: bioavailability考慮」 Yi X., Li H., Ma P. and You J., 2015, Identifying the causes of sediment‐associated toxicity in urban waterways in South China: Incorporating bioavailabillity‐based measearuments i…

最近読んだ論文のメモ: SOMでの汚染源推定・GLM・実験室で使用する溶媒のハザード点数

「SOMを用いた底質重金属汚染源の推定」 Pandey M., Pandey A.K., Mishra A. and Tripathi B.D., 2015, Application of chemometric analysis and self Organizing Map-Artificial Neural Network as source receptor modeling for metal speciation in rive…

最近読んだ論文のメモ: 沿岸域での炭素吸収・UとCdの複合影響・底質の沈降

「海洋生物地球化学:沿岸域の炭素」 Gruber N., 2015, Ocean biogeochemistry: Carbon at the coastal interface, Nature, 517, 148-149. ニュース記事。元になっているのはLaruelleら(2014)の論文。 沿岸域は大気中CO2の大きな吸収源になっているとの報告…

最近読んだ論文のメモ: UCMとPAHのbioavailability・集団内・間の遺伝子発現のばらつき

「UCMがPAHのbioavailabilityに与える影響」 Du J., Mehler W.T., Lydy M.J. and You, J., 2012, Toxicity of sediment-associated unresolved complex mixture and its impact on bioavailability of polycyclic aromatic hydrocarbons, J Hazard. Mater., …

最近読んだ論文のメモ: ブラジルと中国の底質汚染・多変量解析による汚染底質の分類

「ブラジルにおける下水流出が底質汚染に及ぼす影響」 Abessa D.M., Carr R.S., Rachid B.R., Sousa E.C., Hortelani M.A. and Sarkis J.E., 2005, Influence of a Brazilian sewage outfall on the toxicity and contamination of adjacent sediments, Mar.…

最近読んだ論文のメモ: 東京湾底質の汚染・遺伝子発現の個体差

「東京湾底質のLAS・LAB汚染」 Hideshige T., Ishiwatari R. and Norio O., 1992, Distribution of linear alkylenzenes (LABs) and linear alkylbenzene sulphonates (LAS), Estuar. Coast. Shelf Sci., 35, 141-156. 前回に続き、東京湾底質の微量物質汚染…

最近読んだ論文のメモ: 東京湾底質の汚染・二枚貝のマーカー遺伝子

「東京湾底質の微量物質汚染のターゲット・スクリーニング分析」 Pan S., Kadokami K., Li X., Duong H.T. and Horiguchi T., 2014, Target and screening analysis of 940 micro-pollutants in sediments in Tokyo Bay, Japan, Chemosphere, 99, 109-116. …

最近読んだ論文のメモ: 雨水と底質とWET・HOCの分配とDO

「雨水と底質の汚染評価における従来・新規の毒性試験手法の役割」 Burton G.A., Pitt R. and Clark S., 2000, The role of traditional and novel toxicity test methods in assessing stormwater and sediment contamination, Crit. Reviews Environ. Sci.…

論文「異なる曝露時間で自然・化学ストレスを与えたヒメミミズの遺伝子発現解析」

ヒメミミズEnchytraeus albidus を使って2,4,21日間曝露試験を行い、生存個体の遺伝子発現をマイクロアレイによって解析した論文。 曝露物質は銅とフェンメデファン(除草剤)で、土壌にスパイク。また土壌の粒径やpHが異なる曝露系も実施。21日というのは、…

論文「無機鉱物表面へのPAHsの吸着」

ほとんど読んでませんが、データのメモ。 Muller S., Totsche K.U. and Kogel Knabner I., 2007, Sorption of polycyclic aromatic hydrocarbons to mineral surfaces, European J. Soil Sci., 58(4), 918-931. 多環芳香族炭化水素(PAHs)のような疎水性物…

論文「シリカを用いた人工底質下で行うヨコエビのZn毒性試験」

底生生物を用いる毒性試験では、自然環境中から採取した底質ではなく、人工的に作成した底質(以下、人工底質; artificial sediment, formulated sediment)を用いる場合があります。例えばユスリカの底質毒性試験は、石英砂とカオリンなどを混合した人工底…

論文「淡水産カイアシの成長と繁殖を用いた底質毒性の評価」

研究室で紹介された論文。殺菌剤のtebuconazoleを底質にスパイクして、カイアシ(copepod)を曝露させた実験です。 Turesson E.U., Stiernstorm S., Minten J., Adolfsson-Erici M., Bengtsson B.E. and Breitholtz M., 2007, Development and reproduction …

論文「死に至るまでの時間:汚染底質の毒性の定量化指標として」

底質の希釈は困難だという話を書きました。ならば、かなり汚染された底質では、10日後の致死率とかではない、感度の低い(?)別の指標を使ってみようぜ、という論文。 DeFoe D.L. and Ankley G.T., 2003, Evaluation of time-to-effects as a basis for quant…

論文「コントロール底質を用いて汚染底質の希釈列を作成するのはOK?」

底質のような固相試料の希釈は、液相の試料の希釈より困難です*1。 汚染底質の希釈列作成の必要性:ひどく汚染された底質が複数あります。それらを採取し、底生生物を曝露させたところ、どの底質においても曝露させた全部の個体が死亡したとします。この時、…

論文「底生ヨコエビに対する毒性要因を定量的PCRを用いて特定する試み」

生物の周囲の環境を調べるのではなく、生物そのものの健康診断をすることで「どのような汚染が進行しているのか」を知る手法があります。例えば、生物の遺伝子発現を調べる手法です(参考:オオミジンコを用いた研究)。 下記の論文は、汽水域に生息するヨコ…

論文「なぜ汽水域で汚染がトラップされるのか?:塩分とDOMが吸脱着平衡に与える影響からの考察」

都市域から排出された疎水性の汚染物質(hydrophobic pollutants)は、そのまま海に流れ出さずに、汽水域の底質に蓄積していきます。Murphyら(1988;下の論文からの孫引き)によると、90%以上の懸濁態炭化水素が汽水域にとどまる場合があるそうです。 では、…

論文「塩分・粒子径が底質へのPAH吸着に与える影響」

PAH(多環芳香族炭化水素)などの疎水性物質は、底質に蓄積しています。底質中へのPAHの隔離(sequestration)は、時間経過に伴って進行すること(aging effect)は以前紹介しました(→「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」)。 aging effec…

論文「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」

PAH(多環芳香族炭化水素)は、疎水的な性質のために土壌や底質に多く蓄積してます。土壌や底質中のPAHは、粒子表面に吸着していたり、あるいは粒子の微細孔に隔離されたりしています。そのため、容易に抽出されにくかったり、生物に利用されにくかったりし…

環境中のPAHs・論文「シドニーの路面堆積物・土壌・底質中のPAHs」

PAHs(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons;多環芳香族炭化水素)はN,O,Sなどのヘテロ原子や置換基を含まない、複数の芳香環からなる炭化水素の総称です。例えば代表的なPAHsにbenzo[a]pyreneがあります。 図:benzo[a]pyrene 多くのPAHsは変異原性や発がん性…