備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

底質

最近読んだ論文のメモ: ブラジルと中国の底質汚染・多変量解析による汚染底質の分類

「ブラジルにおける下水流出が底質汚染に及ぼす影響」 Abessa D.M., Carr R.S., Rachid B.R., Sousa E.C., Hortelani M.A. and Sarkis J.E., 2005, Influence of a Brazilian sewage outfall on the toxicity and contamination of adjacent sediments, Mar.…

最近読んだ論文のメモ: 東京湾底質の汚染・遺伝子発現の個体差

「東京湾底質のLAS・LAB汚染」 Hideshige T., Ishiwatari R. and Norio O., 1992, Distribution of linear alkylenzenes (LABs) and linear alkylbenzene sulphonates (LAS), Estuar. Coast. Shelf Sci., 35, 141-156. 前回に続き、東京湾底質の微量物質汚染…

最近読んだ論文のメモ: 東京湾底質の汚染・二枚貝のマーカー遺伝子

「東京湾底質の微量物質汚染のターゲット・スクリーニング分析」 Pan S., Kadokami K., Li X., Duong H.T. and Horiguchi T., 2014, Target and screening analysis of 940 micro-pollutants in sediments in Tokyo Bay, Japan, Chemosphere, 99, 109-116. …

最近読んだ論文のメモ: 雨水と底質とWET・HOCの分配とDO

「雨水と底質の汚染評価における従来・新規の毒性試験手法の役割」 Burton G.A., Pitt R. and Clark S., 2000, The role of traditional and novel toxicity test methods in assessing stormwater and sediment contamination, Crit. Reviews Environ. Sci.…

論文「異なる曝露時間で自然・化学ストレスを与えたヒメミミズの遺伝子発現解析」

ヒメミミズEnchytraeus albidus を使って2,4,21日間曝露試験を行い、生存個体の遺伝子発現をマイクロアレイによって解析した論文。 曝露物質は銅とフェンメデファン(除草剤)で、土壌にスパイク。また土壌の粒径やpHが異なる曝露系も実施。21日というのは、…

論文「無機鉱物表面へのPAHsの吸着」

ほとんど読んでませんが、データのメモ。 Muller S., Totsche K.U. and Kogel Knabner I., 2007, Sorption of polycyclic aromatic hydrocarbons to mineral surfaces, European J. Soil Sci., 58(4), 918-931. 多環芳香族炭化水素(PAHs)のような疎水性物…

論文「シリカを用いた人工底質下で行うヨコエビのZn毒性試験」

底生生物を用いる毒性試験では、自然環境中から採取した底質ではなく、人工的に作成した底質(以下、人工底質; artificial sediment, formulated sediment)を用いる場合があります。例えばユスリカの底質毒性試験は、石英砂とカオリンなどを混合した人工底…

論文「淡水産カイアシの成長と繁殖を用いた底質毒性の評価」

研究室で紹介された論文。殺菌剤のtebuconazoleを底質にスパイクして、カイアシ(copepod)を曝露させた実験です。 Turesson E.U., Stiernstorm S., Minten J., Adolfsson-Erici M., Bengtsson B.E. and Breitholtz M., 2007, Development and reproduction …

論文「死に至るまでの時間:汚染底質の毒性の定量化指標として」

底質の希釈は困難だという話を書きました。ならば、かなり汚染された底質では、10日後の致死率とかではない、感度の低い(?)別の指標を使ってみようぜ、という論文。 DeFoe D.L. and Ankley G.T., 2003, Evaluation of time-to-effects as a basis for quant…

論文「コントロール底質を用いて汚染底質の希釈列を作成するのはOK?」

底質のような固相試料の希釈は、液相の試料の希釈より困難です*1。 汚染底質の希釈列作成の必要性:ひどく汚染された底質が複数あります。それらを採取し、底生生物を曝露させたところ、どの底質においても曝露させた全部の個体が死亡したとします。この時、…

論文「底生ヨコエビに対する毒性要因を定量的PCRを用いて特定する試み」

生物の周囲の環境を調べるのではなく、生物そのものの健康診断をすることで「どのような汚染が進行しているのか」を知る手法があります。例えば、生物の遺伝子発現を調べる手法です(参考:オオミジンコを用いた研究)。 下記の論文は、汽水域に生息するヨコ…

論文「なぜ汽水域で汚染がトラップされるのか?:塩分とDOMが吸脱着平衡に与える影響からの考察」

都市域から排出された疎水性の汚染物質(hydrophobic pollutants)は、そのまま海に流れ出さずに、汽水域の底質に蓄積していきます。Murphyら(1988;下の論文からの孫引き)によると、90%以上の懸濁態炭化水素が汽水域にとどまる場合があるそうです。 では、…

論文「塩分・粒子径が底質へのPAH吸着に与える影響」

PAH(多環芳香族炭化水素)などの疎水性物質は、底質に蓄積しています。底質中へのPAHの隔離(sequestration)は、時間経過に伴って進行すること(aging effect)は以前紹介しました(→「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」)。 aging effec…

論文「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」

PAH(多環芳香族炭化水素)は、疎水的な性質のために土壌や底質に多く蓄積してます。土壌や底質中のPAHは、粒子表面に吸着していたり、あるいは粒子の微細孔に隔離されたりしています。そのため、容易に抽出されにくかったり、生物に利用されにくかったりし…

環境中のPAHs・論文「シドニーの路面堆積物・土壌・底質中のPAHs」

PAHs(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons;多環芳香族炭化水素)はN,O,Sなどのヘテロ原子や置換基を含まない、複数の芳香環からなる炭化水素の総称です。例えば代表的なPAHsにbenzo[a]pyreneがあります。 図:benzo[a]pyrene 多くのPAHsは変異原性や発がん性…