備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: トキシコゲノミクスのデータベースを生態毒性学に活用した例

トキシコゲノミクス(toxicogenomics)は、トキシコロジー(toxicology, 毒性学)とゲノミクス(genomics, ゲノム学)をあわせた言葉で、遺伝子の変異や発現変動を網羅的に見ることで生体内で生じる毒性影響のメカニズムを理解しようという学問です。 Compar…

右下腹部の違和感の原因

右下腹部に鈍い違和感。走った後に脇腹が痛くなる感覚に似ているが、それよりも軽い痛み。 一度目は3か月くらい前。その時は、特に何もせず、4日間くらいで収まりました。 次は1週間くらい続いたので、お医者さんに診てもらいました。血液検査に尿検査、そし…

リアルタイムPCRで発現量比の差を解析する統計的手法

リアルタイムPCRで発現解析時の統計手法 遺伝子Aの発現量が条件αと条件βで変わらないかどうか、リアルタイムPCRで調べたい。そんなときの話です。 複数のハウスキーピング遺伝子のCt値(あるいはCp値)と遺伝子AのCt値との差(=ΔCt)を条件α・βごとに求めて…

論文のメモ: 28S rRNAのhidden breakについて

一部の生物種は、28S rRNAの真ん中あたりに切れ目が入っていることをこの記事に書きました。その切れ目はhidden breakと呼ばれ、28S rRNAが分裂するときに一部の塩基が消失することはgap deletionと呼ばれているみたいです。 今回は、hidden breakについて少…

論文のメモ: RT-PCRを始めるにあたって読みたい文献

リアルタイムPCRを用いた遺伝子発現解析の原理、実験手法やデータ解析法について。 いちばん分かりやすく丁寧なのは、タカラやサーモの日本語解説でしょう。特にサーモの「リアルタイムPCRハンドブック」は最高。それらを読んだ後に、将来論文に引用すること…

論文のメモ: RINは 全ての生物種のRNA分解指標にはできない

動物組織から抽出したRNAの分解度合は、電気泳動によって評価するのが普通です。ヒトなどの場合は、バイオアナライザーという装置で泳動して RIN (RNA Integrity Number; Schroeder et al., 2006) なる指標で分解度を評価します。RINの考え方は、RNAの中で大…

生物サンプルの送付依頼

1月ほど前、某国の研究者から遺伝子解析したいので生物サンプル送ってくれないか、という問い合わせメールが来ました。 良いよ~、でもCOI領域なら既に300 bpくらい既に読んであるので配列データ送るね、と返信したところ、1月ほど音沙汰なし。 自分とは異な…

論文のメモ: 化学物質曝露と甲殻類の脱皮

この記事とほぼ同じ内容。 どうも、ZnやCdが脱皮を阻害する発端のメカニズムはCa摂取阻害で説明できそう。Caは殻の材料でもあるし、またCaは脱皮を制御するecdysteroidホルモンをコントロールしているので。 「総説:異物曝露が甲殻類の脱皮に与える影響」 Z…

H先生の最終講義

先日H先生の最終講義があって、見てきました。先生の半生記とか、学科の歴史とか、研究に対する哲学とかが聞けるかと思いきや、本当にふつうの講義みたいなのをしていました…。いちおう近年の研究の象徴的な話だったようですが、ちょっと残念でした。まあ、H…

映画「La La Land」

公開初日に観ました。プレミアムフライデーで。 まあ面白かったです。でも前評判ほどではなかったかな。 夢追い人の話。ストーリーはありきたりですが、二人がケンカしてからは、けっこう感情移入しちゃいました。ラストの切ない感じは良かったです。もし、…

論文のメモ: 金属曝露とヨコエビの繁殖阻害

前回にひき続き、甲殻類への金属毒性のメカニズム勉強中。 「ヨコエビの生殖学と内分泌制御についての総説」 Hyne R.V., 2011, Review of the reproductive biology of amphipods and their endocrine regulation: identification of mechanistic pathways f…

中国でヨコエビ飼育法の特許がとられてる

いやはや、びっくりした。 ネットサーフィンしてたら、ニホンドロソコエビ(Grandidierella japonica)の飼育法の特許を見つけました。ちゃんと読めてないけど、温度は20~26℃、塩分は10~26にするとか、餌に藻類をあげるとか、そんな感じのことが書かれてます…

SciRevに投稿してみた

ここで知ったSciRevというサイトに投稿してみました。 論文を投稿した時の査読にどれだけ時間がかかったか、などの経験談をまとめているサイトです。サンプル数が少ないので、あまり信頼度は高くないです。例えば環境系だと、経験談の最も多い雑誌(Agronomy…

論文のメモ: 甲殻類の脱皮と金属曝露

「オオミジンコのecotoxicogenomicsによって金属毒性のメカニズムが推察できる」 Poynton H.C., Varshavsky J.R., Chang B., Cavigiolio G., Chan S., Holman P.S., Loguinov A.V., Bauer D.J., Komachi K., Theil E.C., Perkins E.J., Hughes O., and Vulpe…

論文のメモ: NGSでミトコンドリアDNAの全長解析

D2のWさん関係で、環境DNAに最近興味あり。 「古腹足類のミトコンドリアゲノム全長配列」 Williams S.T., Foster P.G., and Littlewood D.T.J., 2014, The complete mitochondrial genome of a turbinid vetigastropod from MiSeq Illumina sequencing of ge…

論文のメモ: 底質汚染に対するヨコエビの感受性

論文のIntroductionに「底質汚染に対するヨコエビの感受性は高いよ」と書こうとしたけど、意外と根拠になるデータがぱっと思いつかず…。正当化できそうな論文を探してみました。 今更ながら。古い論文多め。 「サンフランシスコ湾のDDT・ディルドリン汚染地…

非モデル生物のGO enrichment analysisをGOseqでおこなう

RパッケージのGOseq。日本語でも、GOseqの使い方の説明はネット上に散見されます。ただ、多くはヒトなどゲノム情報が手に入る生物種を対象にしていて、いわゆる非モデル生物の場合の説明は見かけません。マニュアルを見ても、コードの例までは書いてません。…

論文のメモ: 複合影響とtoxicogenomics

「トキシコゲノミクスから観た複合影響」 Altenburger R., Scholz S., Schmitt-Jansen M., Busch W., and Escher B.I., 2012, Mixture toxicity revisited from a toxicogenomic perspective, Environ. Sci. Technol., 46 (5), 2508-2522. 総説。勉強会のた…

論文のメモ: 環境DNAを用いた遺伝的多様性の解析

「環境DNAから推察されるジンベエザメ集団の特性」 Sigsgaard E.E., Nielsen I.B., Bach S.S., Lorenzen E.D., Robinson D.P., Knudsen S.W., Pedersen M.W., Jaidah M.A., Orlando L., Willerslev E., Møller P.R., and Thomsen P.F., 2016, Population cha…

「人工知能は人間を超えるか」感想

帰省中の新幹線で読みました。 感想はずばり「ディープラーニングすごい」。 従来の機械学習ではどのような特徴量(=説明変数)を用いるかを人間が最終的に設計しなければならなかったのに対し、ディープラーニングは自ら重要な特徴量を設計できるそうです。…

去年の振り返りと2017年にやりたいこと

去年の始めに2016年の目標を書きました(去年の振り返りと 2016年にやりたいこと)。それが実際、どれだけ達成されたのかチェックしてみました。 目標1:博士課程修了 結果1:◎。7月末に論文審査。9月に無事終了。 目標2:論文2本。自分の本筋の研究と、T君…

論文のメモ: de novo RNA-seqとマーカー遺伝子探索

国環研で使わせてもらった次世代シーケンサー。N先生のご好意により無償で使わせていただけました。N先生はすごい太っ腹というか、商売っ気がない?感じで、「お試しだから別に良いよ」と言ってましたが、やはりN先生にとってもプラスになる形で成果を出して…

DDBJ pipelineの高次解析

前回の続き。blastxに時間かかり過ぎのため、現在linux PCを他の用途に使えません。 「次世代シークエンス解析スタンダード」(羊土社)という本を読んでたら、遺伝研のスパコンを使って解析できる、という話が。「うちのlinuxと遺伝研のスパコンとの2台使い…

blast+の計算時間

12/6(火)からlinuxのコマンドライン上でlocal blastxをおこなってますが、まだ終わらない…。こんな感じのコマンドを入力してから、もうじき7日経ちます。 blastx -query Trinity.fasta -db nr -max_target_seqs 2 -outfmt 5 -evalue 1e-05 -num_threads 6 -o…

論文のメモ: 廃水に曝露させたミジンコの発現変動遺伝子

「ゴム廃水曝露ミジンコにおける発現変動遺伝子の定量化」 Jo H.J. and Jung J., 2008, Quantification of differentially expressed genes in Daphnia magna exposed to rubber wastewater, Chemosphere, 73 (3), 261-266. 卒論生のT君の参考にできそう(う…

RNA-seqにおけるrRNAの扱い

どういう働きの遺伝子がどれくらい発現しているか、見たいのはmRNA。しかしRNAの大部分はrRNAです。シーケンス前にoliog-dTビーズやらで取り除く操作をおこなっても、全てのrRNAが除去できるわけではありません。 なのでmRNAだけが解析対象なら、dry解析時に…

論文のメモ: de novo RNA-seqはどれくらいデータがあれば論文になるか

de novo RNA-seqデータの解析中。初めてのことだらけで、いろいろと手探りです。 まずはお試しでシーケンスしただけなので、そのデータで論文が書けるとは思ってませんが、じゃあ一体どれだけの(量・質の)データがあれば書けるのか、いまいち分野の常識が…

論文のメモ: 曝露生物の日齢と有害物質への感受性との関係

「Daphniaの日齢が金属毒性に及ぼす影響」 Hoang T.C. and Klaine S.J., 2007, Influence of organism age on metal toxicity to Daphnia magna, Environ. Toxicol. Chem., 26 (6), 1198-1204. 一般に若い曝露生物の方が、年老いた生物よりも感受性は高いで…

Ubuntuのアップグレード失敗からの復旧

次世代シーケンサーのデータ解析に、大学で放置されていたLinuxを使い始めました。Linuxはほぼ触ったことがなかったので、解析の入り口に立つまでにかなり苦労しました。 Ubuntuのバージョンは12.04 LTS。 「Ubuntuのアップグレードをしませんか」みたいなメ…

SETAC NA @Orlando

SETAC Nort AmericaのAnnual Meetingに参加してきました。大統領選中に開催されるというタイミング。思っていたより、混乱している感じは受けませんでした。自分の観測範囲が狭かったからでしょうか。トランプが大統領になると、環境系の研究費が削られると…