a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

本「生命はなぜ生まれたのか」・論文「底質試験での餌」

  高井研, 2011, 生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る, 幻冬舎新書

 「地球生物の起源」とタイトルにありますが、本書で対象としているのは、地球で本当に始めに生まれた生命ではなくて、ずっと繋がった末に現在の地球生命までたどり着いた生命です。ぱっと生まれて消えていった『一発屋の生命(p.92)』は対象外です。

 そのことと関連して、本書は生命を生命だけ取り出して考えず、生命を取り巻く環境(生命圏)を重視しています。この視点が非常に面白かったです。地質学や地球化学と生物学の境界が分からない感じが。

 筆者の文体は非常に軽く、友達同士の会話の中みたいに他の研究者のことを話していたりします。けど、内容はかなり高度だと思います。

生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る (幻冬舎新書)

生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る (幻冬舎新書)

 

 

 

Spadaro D.A., Micevska A. and Simpson S.L., 2008, Effect of nutrition on toxicity of contamination of the Epibenthic amphipod Melita plumulosa, Arch. Environ. Contam. Toxicol., Vol. 53, p. 593-602. 

 底質毒性試験では致死や成長阻害などの影響が、化学物質による毒性ではなく、栄養不足である場合があります。そこで、試験中に餌をあげよう、という論文。オーストラリアのこのグループは、このヨコエビを用いた論文をかなり出してるようです。

 まず底質を含まない水のみの曝露系(water-only test)で、餌の種類を検討してます。銅の毒性 (LC50) は藻類投与時に高く、魚の餌(Sera Micron)投与時に低くなりました。それは、藻類が増殖できず栄養不足のため死亡したためか、藻類を介したdietaryのCu毒性が生じたためと考察されてます。結論は、「魚の餌を投与すれば飢餓を防ぐことができ、純粋な水系の曝露試験とみなすことができる」というものでした。

 このグループは、自分のやろうといていたことを大分先取りしてて、読んでて「う~む」となります。