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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文「海産珪藻へのシアン化物およびシアン錯体の毒性」

論文 生態毒性 重金属

シアン化合物は、金属の精錬やめっき製造などの工業排水によって水圏に流入しています。また、バクテリアや藻類によっても生産されています。

 

シアンは例えば下記のように、シアン化水素となったり、金属と錯体を形成したり、様々な形態をとっています。水生生物への毒性の原因は、それらの中でも中性付近の環境水では一般にシアン化水素 HCN によるものが主だと言われています*1

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下の論文は溶鉱炉などでよく見られるというNaCNおよび鉄-シアン錯体の毒性を、珪藻の Nitzchia closteriumを用いて調べた論文です。

Pablo F., Stauber J.L. and Buckney R.T., 1997, Toxicity of cyanide and cyanide complexes to the marine diatom Nitzchia closterium, Wat. Res., 31 (10), 2435-2442. 

 

NaCNとK3Fe(CN)6及びK4Fe(CN)6を比較して、全てフリーシアン(HCNとCN-の和)濃度で毒性が説明できるよ、という結果。K3Fe(CN)6K4Fe(CN)6も、フリー態に乖離することで毒性を発現しているといいます。

 

今回シアン毒性の研究を読んでみたのは、シアンは毒性を有しながらも、重金属と錯体を形成することで重金属の毒性を緩和し得るという特徴があるからです。シアンが含まれる毒性溶液に重金属が流入して、錯体が形成され、「重金属が入ったのに逆に毒性が消えた」みたいな現象がないかなと思って、適当に論文を探してみたのです。けれど、普通の論文を読んでしまいました。

*1:HCN⇆H+CNの平衡定数は6.17×10-10なので、シアンは中性付近でほぼHCNの形をとっています。