「海洋での"閉鎖的な"ネットワーク」
Limardo A.J. and Worden A.Z., 2015,Microbiology: Exclusive networks in the sea, Nature, 522, 36-37.
Natureのニュース記事。藻類と細菌の間での物質のやりとりに関する話。藻類の種は同じでも系統strainが変わると、細菌との関係も変わるというのは面白い。元になった論文までは読んでないです。
「Welchのt検定」
Ruxton G.D., 2006, The unequal variance t-test is an underused alternative to Student's t-test and the Mann–Whitney U test, Behav. Ecol., 17(4), 688-690.
2標本の平均値の検定について。ここで紹介されていたので読んでみました。また、ここにも解説があります。
「標本間で等分散の検定⇒等分散を仮定したstudentのt検定 / 等分散でないなら非等分散を仮定したt検定」という2段階の検定を自分は今までやってましたが、それはやめようというお話。
等分散の検定などせずに、はじめから等分散を仮定しないWelchのt検定をやれば良い。Welchのt検定は等分散・非等分散のどちらでも使用できるから。むしろ2回続けて検定をおこなうと、第1種の過誤の確率が増えてしまう。詳しくはここに書いてます。
さらに、ノンパラメトリックの時でもマンホイットニーのU検定の代わりにWelch's t-testを使えといいます。
「表現型と環境変動の関係:生理的応答は個体差を減少させる?」
Oleksiak M.F. and Crawford D.L., 2012, The Relationship between phenotypic and environmental variation: Do physiological responses reduce interindividual differences?, Physiol. Biochem. Zool., 85(6), 572-584.
近ごろいくつか読んでる発現の個体差に関する論文。Nature Genetics(2002)とMolecular Ecology (2009)などの成果をまとめた総説です。
変動の大きい環境では、発現のばらつきがむしろ小さくなる。遺伝的に差のある個体群でも、同様の挙動を示す。そんな仮説を提唱してます。
そのような現象が生じる原因として、転写因子の濃度が鍵であるとするメカニズムベースの仮説も提唱してます。環境の変化によって転写因子が多く作られると、親和性affinityの低いDNA配列にも転写因子が結合するので、DNAの多様性がマスクされてしまう、という説明です。
「胚の遺伝子発現は親魚の出産地の影響を受けるか」
Bozinovic G. and Oleksiak M.F., 2010, Embryonic gene expression among pollutant resistant and sensitive Fundulus heteroclitus populations, Aquat. Toxicol., 98(3), 221-229.
上に書いた論文に引用されていた、同一著者の論文。ざっと読み。汚染サイト・非汚染サイトのそれぞれから採集したマミチョグFundulus heteroclitusを実験室に持ち帰り、その胚の試験をおこなったもの。親であるマミチョグの由来によって変化したのは心拍数・胚の生存率であり、胚の遺伝子発現は、親がどこ由来でもほぼ同じだった。