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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

最近読んだ論文のメモ: 沿岸域での炭素吸収・UとCdの複合影響・底質の沈降

論文 生態系 生態毒性 炭素循環 底質 Mixtures HOC

「海洋生物地球化学:沿岸域の炭素」

Gruber N., 2015, Ocean biogeochemistry: Carbon at the coastal interface, Nature, 517, 148-149. 

ニュース記事。元になっているのはLaruelleら(2014)の論文。

沿岸域は大気中CO2の大きな吸収源になっているとの報告があったけど、実はそれほどでもないかも、というお話。関連する話はこのブログでも書きました(→ここ)。昔は数百の観測データに基づいていたけど、観測数が300万に増えたことで、沿岸域における吸収量の推定値は2.3±0.7 PgC/yr(ペタグラム/年)から0.2 PgC/yrに修正されたそうです。

低緯度地域はCO2の排出源に、高緯度地域はCO2の吸収源になっている傾向が強いようです。温度(溶解度)が結構支配的なんですね。日本周りの沿岸域はCO2の吸収源になっています。これは日本の環境戦略を考える上で、実は重要な知見では。。。

 

「分流式下水処理システムにおけるPAHs負荷と除去」

Ozaki N., Takamura Y., Kojima K. and Kindaichi, T., 2015, Loading and removal of PAHs in a wastewater treatment plant in a separated sewer system, Water Res., 80, 337-345. 

下水処理場でのPAHs除去。表2が関連する既往文献のまとめになっている。特にこれという新しいことはなかった。しかしこういう変動の大きいデータを扱うのは大変ですね。しみじみ。

 

C.elagansに対するウランカドミウムの複合影響」

Margerit A., Lecomte-Pradines C., Svendsen C., Frelon S., Gomez E. and Gilbin R., 2015, Nested interactions in the combined toxicity of uranium and cadmium to the nematode Caenorhabditis elegans, Ecotoxicol. Environ. Safety, 118, 139-148. 

複合影響を示す用語は、Combined toxicityとかjoint effectとか統一されてない気がする、と思ってたら環境省の資料がありました(平成24年度化学物質複合影響評価手法検討調査業務 報告書)。combined effectでもjoint effectでもmixture effectでも、同じ複合影響を意味するそうです。

 珍しく拮抗影響を示した例かと思ったら、ウランカドミウムが拮抗したのは線虫体内ではありませんでした。培地から餌である大腸菌に移行する段階で、ウランカドミウムの競合が起きているようです。

 

「粒子の沈降特性」

渡辺, 藤本, 瀬口, 1979, 有明海浅海域潟土の懸濁粒子の沈降特性, 佐賀大学農学彙報, 47, 89-101. 

液状底質の沈降特性について。塩分・粒度分布・含水比との関係。頭が整理できた。活性汚泥の沈降に関して、同様のことを学部時代に勉強したはずなんですが…。

沈降の始めは、粒子の一つ一つがストークスの式(沈降速度は粒子密度と、粒子直径の2乗に比例)に従う自由沈降です。次第に粒子同士が凝集していきます。そして各粒子は、他の粒子に干渉されて速度が低下します。干渉沈降です。この段階では液体と懸濁態との界面が形成されています。最後は、上方の粒子の重みによって下方の粒子が圧縮される圧縮沈降になります。

含水比との関係。含水比を大きくすると、粒子濃度が減少するので自由沈降の期間が長い。したがって沈降速度も速くなります。