a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

最近読んだ論文のメモ: cDNA-AFLPのばらつき・omicsデータのばらつき

「cDNA-AFLPのばらつきの原因」

Weiberg A. and Karlovsky P., 2009, Components of variance in transcriptomics based on electrophoretic separation of cDNA fragments (cDNA‐AFLP), Electrophoresis, 30(14), 2549-2557.

cDNA-AFLPのデータのばらつきは、どこに原因があるのかという研究。突っ込みどころもありつつ個人的には面白かったけど、google schoarでは2件しか引用がない。やはり時代はNGSで、もうcDNA-AFLPはオワコンってことでしょうか。

cDNA-AFLPにおけるデータのばらつきは、cDNA合成→制限酵素→予備PCRの過程に起因するという結果。2回目のPCRと泳動はあまり関係ないそうです。さらにピーク強度が大きいからといってばらつきが大きくなる訳ではないようです(マイクロアレイでは強度が小さいとばらつきは大きい)。もしかすると閾値を高くすることでノイズを除去する方法(Whitlockら, 2008)は、情報を削りすぎかもしれない…。


  

「フラグメント解析における発現量の定量的評価」

Venkatesh B., Hettwer U., Koopmann B. and Karlovsky P., 2005, Conversion of cDNA differential display results (DDRT-PCR) into quantitative transcription profiles, BMC genomics, 6(1), 51.

上の論文で引用されていたやつ。ほとんど読んでないですが。cDNA-AFLPやDDRT-PCRは普通定量評価に使用されません。controlと処理系で差のないハウスキーピング遺伝子だけでnormalizationすることで、発現の定量評価を試みた手法。

 

「環境毒性学におけるomicsデータのばらつき」

Simmons D.B., Benskin J.P., Cosgrove J.R., Duncker B.P., Ekman D.R., Martyniuk C.J. and Sherry J.P., 2015, Omics for aquatic ecotoxicology; Control of extraneous variability to enhance the analysis of environmental effects, Environ. Toxicol. Chem., 34 (8), 1693-1704.  

ETCのレビュー。omicsデータのばらつきをちゃんと考慮しようぜ、論文。ばらつきをコントロールするために、生物学的な要因・技術的な要因・実験デザイン・統計処理のそれぞれで適切に?考えようという内容。期待したほど大した情報はありませんでした。ある意味、生態毒性分野ではデータのばらつきを抑えるための実験条件に関して、まだまだ合意ができていないということでしょう。

個人的に気になったのは、以下の話。

  • 野外で採取された個体群よりも、laboratory-maintained organismsの方が発現のばらつきは小さい(Parsons et al., 2009)。これってScott et al., 2009と同様の例か?
  • マイクロアレイでの結果、CV値は大きくて0.7程度。組織や性によって異なる。
  • biofuids(plasmaやurine)の方が、組織よりもメタボロームのばらつき大きい。
  • 機能単位で解析すれば、ばらつき大きくても丸められる。各遺伝子の発現差異解析だけだと、ばらつきのおおきさによっておかしな結果になることも。
  • やはり検出力考えないと。この論文では0.8以上を目安にしてます。偽陽性は5%。