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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

最近読んだ論文のメモ: 仮説検定の報告の仕方・nMDSデータの示し方

日野明徳, 2015, 環境影響評価における海と陸の同床異夢, 日本水産学会誌, 81(2), 205-205.

 「代表生物種」を決めて環境評価をおこなうプロセスは妥当なのか、という問題提起。耳の痛い話です。

静的な現象のみ対象にしていれば、代表種を決めるのもおかしな話ではないと思います。例えば生物種の感受性だけがキーなら、複数の代表種を選んでバイオアッセイすることは妥当でしょう。問題は評価対象が動的な場合(被食捕食,競争,適応などなどを考える場合)で、その時は少数の「代表種」の選択が困難ですよね。数理モデルなどを用いて、複雑な生態系を複雑なまま考える必要があるのでしょうか?「海と湖の貧栄養化問題」を読んで、そういう話にまた興味が出てきました。

 

 

 「ETC誌における統計処理の報告は情報が欠けている」

Bosker T., Mudge J.F. and Munkittrick K.R., 2013, Statistical reporting deficiencies in environmental toxicology, Environ. Toxicol. Chem., 32(8), 1737-1739.

ようやくこのへんの「有意性検定の怪しさ」話が感覚的にも理解できるようになってきました。2010年にETC誌に掲載されたt検定やANOVAを実施している論文のうち、実際のp値(exact p-value; 例えばp = 0.03)を示してない論文が60%、t値(またはF値)を示していない論文は82%、自由度を示してない論文は85%、検出力(statistical power)を示していないのは90%。

あと、統計的に有意な差のあった結果にばかり詳細に論じられる傾向があったそうな。仮説検定の代替案などについてはここでは述べられてません。

しかし短絡的なp値依存はやめよう、という議論自体は引用文献を見ていると80年代から既にされているんですね。 

 

 

「栄養塩負荷と食物網構造が異なる淡水湖における微生物叢の特徴化」

Van der Gucht K. et al., 2005, Characterization of bacterial communities in four freshwater lakes differing in nutrient load and food web structure, FEMS Microbiol. Ecol., 53(2), 205-220. 

この前読んだ総説で紹介されていた論文。引き続き多変量解析手法・示し方の勉強のため。細菌群集のnMDSにおけるプロットの大きさを、比較したい環境要因の値に合わせるという見せ方。口頭発表するときなんかに使いたい。