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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

最近読んだ論文のメモ: ニコチンの生態毒性 その4 ~ネオニコの作用機序との比較~

 ニコチン毒性の作用機序は、農薬のネオニコ関連でたくさん研究されているようす。

 

 

Yamamoto I.,  Yabuta G., Tomizawa M., Saito T. Miyamoto T. and Kagabe T., 1995, Molecular mechanism for selective toxicity of nicotinoids and neonicotinoids, J. Pest. Sci, 20(1), 33-40.  
Tomizawa M. and Casida J.E., 2003, Selective toxicity of neonicotinoids attributable to specificity of insect and mammalian nicotinic receptors, Annual Review  Entomol., 48(1), 339-364.  

 まずざっと総説を読みました。読んでから気づいたけど、同じグループの論文でした。

ニコチノイドも、ネオニコチノイドもニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のアゴニストで、神経系の毒性を引き起こす。どちらもイオン化した状態で中枢神経系のnAChRに結合する 。

※ただしイオン化したままでは神経系に浸透できないので、非イオンである遊離態として浸透してから、イオン化する。一方ネオニコはそもそも体内でイオン化していない。

 

 

「リスク評価におけるDruckrey–Küpfmüller式の重要性」

Tennekes H.A., 2011, The significance of the Druckrey–Küpfmüller equation for risk assessment—The toxicity of neonicotinoid insecticides to arthropods is reinforced by exposure time: Responding to a Letter to the Editor by Drs. C. Maus and R. Nauen of Bayer CropScience AG, Toxicology, 280(3), 173-175.   

ニコチンではなくネオニコチノイドの話ですが、パルス曝露との関連が語られていたので読んでみました。まずTennekes (2010) が論文を出します。それに対してMaus & Nauen (2011) が下記のコメントを出します。上のTennekes (2011) はそのMaus & Nauen (2011) に対する返答です。

Maus C. and Nauen R., 2011, Response to the publication: Tennekes, HA (2010): the significance of the Druckrey–Küpfmüller equation for risk assessment—the toxicity of neonicotinoid insecticides to arthropods is reinforced by exposure time. Toxicology, 280(3), 176-177.   

とりあえず関心のあるところだけ議論の流れを追ってみました。つまりネオニコの曝露時間と影響との関係をどうモデル化するか、についてです。ネオニコの実際の影響のようなより一般的な話題はほぼスルーしました。

 

Tennekes, 2010 『ネオニコの毒性はHaber則で考えるべし。低濃度でも長期間なら影響大きいよ。』

Maus & Nauen, 2011『いやHaber則と、その定式化であるDruckrey–Küpfmüller式は受容体への不可逆的な結合にしか適用できないよ。ネオニコは可逆的だからダメ。実際、不連続的な曝露状況だと、ネオニコ曝露から回復した例もあるし(Nauen, 1995, Pest Sci)。』

Tennekes, 2011『ネオニコはアセチルコリンエステラーゼで分解されないから、結合部位に長く残存するよ。なので実質的には不可逆みたいなもの。』

 

Tennekes, 2011は相手のコメント一つ一つに応えていない気がしますが、そして数理モデルの話に寄り過ぎている気がしますが、書いている内容は勉強になりました。

  

 

(追記)

冨澤元博, 大塚博子, 宮本徹, ELDEFRAWI, M. E., & 山本出. (1995). Pharmacological Characteristics of Insect Nicotinic Acetyicholine Receptor with Its Ion Channel and the Comparison of the Effect of Nicotinoids and Neonicotinoids. Journal of Pesticide Science, 20(1), 57-64.

ニコチンの無脊椎動物に対する作用機序の分析例として。