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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: ヨコエビの慢性試験用の人工淡水

生態系 生態毒性 論文 ヨコエビ

「人工淡水におけるヨコエビの活動に及ぼす臭素の影響」

Ivey C.D. and Ingersoll C.G., 2016, Influence of bromide on the performance of the amphipod Hyalella azteca in reconstituted waters, Environ Toxicol Chem, accepted. 

ヨコエビの飼育・慢性試験はふつう、環境中の井戸水や自然海水(+落ち葉や環境底質)を使用しておこなわれます。EPAプロトコルにある人工淡水(or 海水)だけでは、なぜか上手く長期生存+繁殖してくれません(例えばKemble et al., 1999)。ちなみに自分はヨコエビを人工海水+環境底質で飼育してます。人工海水+人工底質ではうまく繁殖できませんでした…。 

Ivery and Ingersoll (2016) は、これまでのHyalella azteca の毒性試験に使用されていた人工淡水に臭素Brが不足しているのはないか、という研究。イントロによると、1990年代後半から既にBrの重要性が指摘されていたようです。少なくとも0.02 mg/L以上はBrを加えた方が生存・体長・産仔数に良いという結果。

 

自分は30‰人工海水で飼育しているので、既に60 mg Br/Lは与えています。海産ヨコエビを人工的環境で繁殖させるのに必要なのはBrではなかったか…。しかし何か特定の微量元素を加えるだけで飼育状態を大きく改善できるかもしれないというのは、良い示唆でした。例えばヨウ素Iやフッ素Fは、今の人工海水に欠けているので検討してみても良いかも(参考:Davis and Gatlin, 1996)。