a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: Adverse Outcome Pathways (AOP)

名前は聞いていたけど、その中身はちゃんと分かっていなかったAdverse Outcome Pathways (AOP) についてざっくり勉強しました。

 

AOP: 生態毒性研究とリスク評価を支える概念的な枠組み

Ankley G.T., Bennett R.S., Erickson R.J., Hoff D.J., Hornung M.W., Johnson R.D., Mount D.R., Nichols J.W., Russom C.L., Schmieder P.K., Serrrano J.A., Tietge J.E. and Villeneuve D.L., 2010,  Adverse outcome pathways: a conceptual framework to support ecotoxicology research and risk assessment, Environ Toxicol. Chem., 29 (3), 730-741. 

2010年ETCの総説。化学物質による曝露がどのようにして生物学的に意義のある悪影響(Adverse outcome, AO; 死亡や生殖阻害)などにつながるのかを整理する概念のことを、AOPと呼ぶようです。AOPの考え方自体は別に新しくなさそうです。ただばらばらに存在していた知見をまとめようという動きが新しいんでしょうか(適当)。

この総説ではpathwayの例が5つ挙げられてます。(i) narcosis, (ii) photo-activated toxicity, (iii) aryl hydrocarbon receptor , (iv) activation of estrogen receptor, (v) impared vitellogenesis. (v)に関しては最初にある応答が生じてから(molecular initiating event; MIE)、最終的に生殖阻害につながるまでの経路がかなり明らかになっているみたいですが、他の(i)~(iv)では不明確な部分もあるそう。

読んでみて分かったのは、AOPは意外と実用志向ということ。影響予測や原因推定のために単純化し、さらに途中のpathway, mechanismが不明でも明確な相関があれば規制に応用しようとしてます。単純に気になるのは、将来的にどれくらいの数のpathwayを想定しているのか。この論文では5つ示されてますが。それぞれのpathwayの独立性とかも気になる。

ネット上に井口先生による日本語でのAOP解説がありました(→こちら)。