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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: 在来種とそれ以外の種でのSSD

生態毒性 論文

先日の環境毒性学会の話を先生としてたら、「SSD(Species sensitivity distribution)って日本にいない種で作っても良いの?」と言う話になりました。

感覚的には日本にいない種でSSDやHC5を推定しても、日本にいる種で推定した場合とあまり変わりがなさそうですが、どんぴしゃの内容の論文がありました。

 

「非ネイティブの種に基づく水質基準はネイティブ種を守ることができるか?

Jin X., Wang Z., Wang Y., Lv Y., Rao K., Jin W., Giesy J.P. and Leung K.M., 2015, Do water quality criteria based on nonnative species provide appropriate protection for native species?. Environ. Toxicol. Chem., 34(8), 1793-1798.

在来種のデータを用いて算出したHC5と、在来種以外のデータに基づくHC5を比較したメタ分析論文。全部で38種の化学物質のデータを集めてます。うち21種は1つの論文(Fedorenkova et al., 2013, Aquatic Invasions)のデータで、ちょっとどうかと思いましたが…。データ元の論文は確認してません。

38物質のうち19物質で、HC5の差は2倍未満。HC5が10倍以上異なったのは6物質で、そのうち「在来種のHC5 < 在来種以外のHC5」だったのは4物質でした。この結果から、不確実係数10倍を使えば、在来種の90%(=4/38)は守れるだろう、と結論付けてます。

ちなみに"the problem of lack of toxicity data for native species exists not ony for in China but also in other countries and regions such as Australia, Japan, Korea, South Africa, and Southeast Asia"と、在来種のデータ不足は日本も例外じゃないと指摘されてます。

 

 

この論文のような方法を使えば、在来種を用いるかどうかの根拠づけは出来ると思います。ただ在来種で良いのか問題は実は、気持ちの問題もあるかもしれないですね。説得力というか。

あとこの論文では明確に言及されてませんが、SSDのデータのもとになっている毒性試験のプロトコルが国や地域によって違えば、その影響はかなり大きいかも? 試験生物の感受性そのものより、試験水の水質などの実験条件の影響。