読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: 甲殻類と細菌の関係

論文 生態系 分子生物学 ヨコエビ 生態毒性 微生物

気晴らしで読んでみた論文。自分自身の研究との関連は特にないです。

 

「海産ヨコエビの新しい体表面共生細菌

Gillan D.C. and Dubilier N., 2004, Novel epibiotic Thiothrix bacterium on a marine amphipod, Applied Environ. Microbiol., 70 (6), 3772-3775.

海産ヨコエビの表面に硫酸酸化細菌がいることをFISH(fluorescence in situ hybridization)と配列解析で確認したという報告。何が研究の面白いところか始めは分からなかったけど、たぶんThiothrix以外の細菌が共生しているのは見つからなくて、見つかったThiothrixのある種が他の環境(底質など)にはいないという共生関係の特異性が面白いんですね。

 

「外部共生するヨコエビの硫化物耐性

Bauermeister J., Assig K., and Dattagupta, S., 2013, Exploring the sulfide tolerance of ectosymbiotic Niphargus amphipods from the Frasassi caves, central Italy, Internat. J. Speleol., 42 (2), 6.

上の海産ヨコエビと同じように硫黄細菌と外部共生している淡水産ヨコエビをつかった研究。「硫黄細菌が毒性の高い硫化水素を硫酸まで酸化するために、ヨコエビ硫化水素の毒性を受けにくいのではないか」という説を検証してます。このような方向性なら、環境毒性をやってる身としては、研究の面白さはよく分かります。

毒性実験の設計がひどいですけど(n=1など)、抗生物質で硫黄細菌を殺したうえで硫化水素を添加した系とそのまま硫化水素を与えた系で、致死率の大きな差は見られなかった模様。硫黄細菌がいないはずの系でも、それなりの耐性があったので、硫黄耐性は細胞共生以外のメカニズムによるものではないかと推測してます。

 

抗生物質耐性遺伝子の避難所としてのDaphnia

Eckert E.M., Di Cesare A., Stenzel B., Fontaneto D., and Corno G., 2016, Daphnia as a refuge for an antibiotic resistance gene in an experimental freshwater community, Sci. Total Environ., 571, 77-81.

タイトルのキャッチ―さに釣られて、なんとなく読んでみました。短い報告で、Daphniaに食べられるから周りの水中の薬剤耐性菌は減少するけど、Daphniaの体内(もしくは表面)には薬剤耐性菌が潜んでいるという話。だから何というわけではないけど、こんな研究もあるのかという意味で面白かったです。

この論文を読んだ後だと、上の硫黄細菌の研究に関して、抗生物質を与えた後でもヨコエビ内に硫黄細菌が残っていて硫化水素を解毒したんじゃないかという妄想が…。硫化水素の取り込みは鰓や表皮メインだろうから、体内の細菌は関与しないので違うか。