「トキシコゲノミクスから観た複合影響」
Altenburger R., Scholz S., Schmitt-Jansen M., Busch W., and Escher B.I., 2012, Mixture toxicity revisited from a toxicogenomic perspective, Environ. Sci. Technol., 46 (5), 2508-2522.
総説。勉強会のために読み直してみました。”While the number of mixture studies performed seems quite impressive, none of them explicitly tested mixture hypotheses.”と書いてあるように、この総説を読んでも複合影響のメカニズムは「?」な感じです。
研究状況を知るには良い論文(ちょっと古いかもしれないけれど)。河川水や汚染底質などの環境試料に曝露させた生物のmolecular responseを調べた論文は本当に少なくて(表4)、7つしか挙げられてません。金属類やいわゆる環境ホルモンは、比較的研究が多めです。
「ユスリカに対するパーメスリンとCdの複合影響」
Chen X., Li H., and You J., 2015, Joint toxicity of sediment-associated permethrin and cadmium to Chironomus dilutus: The role of bioavailability and enzymatic activities, Environ. Pollut., 207, 138-144.
ピレスロイド系殺虫剤のパーメスリンとCdとは拮抗作用を示したが、それは生物体外における影響(bioavailablity変化)ではなくて、生体内での影響だろうとのこと。Cdの添加によって、抱合酵素のGST(glutathione S-transferase)とカルボキシルエステラーゼの活性が促進されて、パーメスリンの解毒も促進されたのではないか、という考察。ざっとしか読めてませんが、複合影響のメカニズムを考察する例として理解しやすい論文です。本当にこれで十分かどうかは、ちょっと分かりませんが。
続報もありました。co-exposure時のぺーメスリン取り込み量の経時変化などを見ています。