a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: 底質の金属毒性

 

「底質中の金属毒性の予測

Simpson SL, Batley GE, 2007, Predicting metal toxicity in sediments: a critique of current approaches, Integr Environ Assess Manag 3:18-31.

総説。以下に簡単なまとめ。

  • 底質の金属毒性を考えるときは、生物種による違い(例:懸濁物食者か堆積物食者か)と、底質の性質による違い(堆積物に金属がどれだけ吸着するかを示すKd値の違いなど)の両方を考慮しないといけない。
  • 金属Mをスパイクして汚染底質を作るときの注意点。添加された金属が鉄と置き換わり(M+FeS→MS+Fe2+)、鉄を酸化・水酸化する(Fe2+→Fe3+ + e-, Fe3++3H2O→Fe(OH)3+ 3H+)ため、pHが著しく低下する。鉄の防ぐため、嫌気条件下でスパイクすることをお勧めしている。もっともその場合でも、MnO2などによってある程度は酸化される。また、硫化物イオンの量よりも添加金属量が多ければ、添加金属自体の水酸化によってもpHは低下する。pHが異なると有機物や酸化鉄への金属の吸着能も大きく変化するので、pHには注意。
  • Sediment BLM (2005, ETC) のデータ元は、大体スパイク試験。100 µg/L以上という高い間隙水濃度。pHをコントロールしてなかったり、平衡時間が短かったり、が原因。なので、Sediment BLMの仮定である「摂食による寄与は無視できる」は疑わしい。