ひと月くらい前に読了。
バイタリティに富んだ人間という一言に尽きます。
彼が海軍衛生兵としてベトナムへ従軍していた時の話。腹部に傷を負った二人の男が同時期に病院に運ばれてきた。ひとりは生きて当然だと思われたが、すぐに息を引き取った。もうひとりは腸や肝臓、脾臓の一部が吹き飛ばされてすぐに死ぬと思われたが、何日もしゃべり続けて生きながらえていた。二人の対比から、ベンターは人間の精神と意志の力はどんな薬よりも効果があることを学んだ、とあります。ベンターはこの出来事以来ほとんど毎日のように、今日も生きていたいと願うようになったそうです。
これは彼の自伝を象徴するエピソードと思います。とにかく並外れた情熱と行動力が本書の節々から感じられます。ヒトゲノム計画のあとも、微生物メタゲノム*1や人工生命など新しい研究課題に取り組んでますしね。
ゲノム研究を始める前の学部生のころ(ベトナムからの帰還後)からPNASに論文を載せまくるなど、超優秀だったとは知りませんでした。
ショウジョウバエのゲノムを手に入れた際、その分析を短期間で終わらせるために世界中のショウジョウバエ研究者を一か所に集め、11日間かけて皆で解析して3本の一連の論文を発表したと言います。おかけでゲノムプロジェクトを始めてから論文発表まで1年足らずで済ませています。すごすぎ。こういう時代が動いてるというか、興奮が充満してるような感じ、ぜひ参加してみたい。
あと民間企業でもアカデミックな研究ができるんだなぁと感心しました(小並感)。彼のマネをして上手くいくかは知りませんが。
- 作者: J・クレイグ・ベンター,野中香方子
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 2008/12/15
- メディア: 単行本
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