ter Laak T.L. et al., 2009, Dissolved organic matter enhances transport of PAHs to aquatic organisms, Environ. Sci. Technol., 43, 7212-7217.
「水生生物への重金属の毒性にどのような因子が影響するか」は良く研究されています。フリー態が最もavailableである、塩化物イオンなどと錯体を形成するとavailablityは低下する、水中の陽イオンと競合する、など。生物と共存物質・対象物質(重金属)の関係を整理するBiotic Ligand Modelのようなモデルも考案されています。
有機物質に関しては、同様の研究が少ないように思います。というか、統一的な見解がたてられる段階ではない気がします。
とにかく「有機物質の毒性・生物移行性と共存物質の関係」について少し勉強しようと思って上記論文をざっと読みました。全部はちゃんと読んでません。以下、結果に関するメモ。
- 水中にフミンがあるとPyreneもBenzo[b]Fluorantheneも、(フミンと溶存錯体を形成するため)供給ソースのPDMSシートから水中への移行量が増大した。
- 溶存態中の錯体割合はPyreneよりもB[b]Fの方が大きく、生物への移行に(フリー態だけでなく)B[b]Fの錯体が寄与していることが示唆された。
あと、手法に関して。PAHsのような疎水性物質を水中に供給するキャリアーとしてPDMSシートも用いています。初めてこのような手法を知りました。