論文といってもperspectiveですが。
Sánchez-Bayo F, 2014, The trouble with neonicotinoids, Science, 346(6211), 806-807.
ネオニコチノイドというのは、現在広く使用されている殺虫剤のグループです。タバコに含まれるニコチンは、ニコチノイドというグループに入りますが、そのニコチノイドを殺虫剤・農薬として改良したものがネオニコチノイドです。ニコチノイドは人体にも有害ですので、対象とする虫(害虫)だけに有害であるようなネオニコチノイドを作り出したのです。
「対象とする虫(害虫)だけに」と書きましたが、「そんなことはないよ、蜜蜂のような「益虫」も有害な影響を受けているよ」という話。蜜蜂が消えたという話はニュースにもなっていたので、自分も知っていました。でも、詳しいことは全く分かってないので、今回まずperspective論文を読んでみたわけです。
ここから論文の内容。
- ネオニコチノイドの影響は遅れて現れる。蜂の場合、一回の食餌で死ぬことはほとんどなさそう。
- ウイルス感染症との合わせ技。農薬の影響で蜂の免疫力が低下したときに、ウイルス感染し、直接的にはそのために死亡。
- 蜂だけでなく、アリや水生生物(トビケラ・ユスリカの幼虫、ヨコエビなど)にも毒性影響あり。
- 水溶性なので、土壌・地下水を経て水域へ達することも。
- イミダクロプリドは0.01 ppb(= 0.01 µg/L)レベルでも、無脊椎動物を減少させるというモニタリングデータもある*1。
*1:Van Dijk et al., 2013, PLOS ONE