道路に積もった雪を溶かすためにまく塩(塩化ナトリウム)は、水生生物に悪影響を与えるかもしれないという記事を昔書きました(→こちら)。塩化ナトリウムは舗装された道路を流れ、河川や湖に流入します。その地点の塩濃度は上昇し、淡水でしか生きられない生物の生存を脅かす可能性があります。塩は水によく溶けていますから、流入地点までに除去するのが困難です。
Corsi S.R. et al., 2010, A fresh look at road salt: aquatic toxicity and water-quality impacts on local, regional, and national scales, Environ. Sci. Technol., 44 (19), 7376-7382.
この論文は、融雪剤が流入することによる淡水生物への毒性影響を、USAのミルウォーキー(local sclae)・ウィスコンシン州(regional sclae)・全国規模(national sclae)で調べた研究です。
研究の手法は、(i) 河川の電導度の測定、(ii) 流入水の伝導度測定および (iii) ミジンコ・ファットヘッドミノーを用いた流入水の毒性試験です。河川の電導度は最大で30,800 µS/cmにも達しています*1。
アメリカと違って日本では淡水河川が短いので、塩分増加の影響も少ないかもしれません。この論文では調べられていないですが、塩分増加によって有害物質のbioavailabilityが変化することもあるでしょう、そのような間接的な影響はどうなんでしょうか。
*1:塩分にすると20‰程度でしょうか。