「雨水と底質の汚染評価における従来・新規の毒性試験手法の役割」
Burton G.A., Pitt R. and Clark S., 2000, The role of traditional and novel toxicity test methods in assessing stormwater and sediment contamination, Crit. Reviews Environ. Sci. Technol., 30(4), 413-447.
いわゆるWET(Whole Effluent Toxicity)試験に代表される排水試験の限界と今後の展望を述べている論文です。結構古い論文だけど、今と同じようなことが議論されてたりします。
WETの課題として挙げられているのが、瞬間的な汚染を評価しにくいこと、水系の画分ばかり評価されていること、(特に疎水物質に関しては)長期間の影響も見るべきだということなどです。
正直知らなかったのは、底質が嫌気から好気的環境に変わると、粒子に付着していた疎水物質は間隙水に移行するということ。
しかしこのヒト、総説を出しまくって自分の論文を引用しまくってます。ちょっと強引な引用も多そうで、なんかなぁ。
「好気・嫌気間隙水中の溶存有機物によるTeCBの分配」
Hunchak-Kariouk K., Schweitzer L. and Suffet I.H., 1997, Partitioning of 2, 2', 4, 4'-tetrachlorobiphenyl by the dissolved organic matter in oxic and anoxic porewaters, Environ. Sci. Technol., 31(3), 639-645.
上記論文で引用されてた研究。詳細はフォローしてません。
「底質が嫌気から好気的環境に変わると、粒子に付着していた2,2',4,4'-TeCBは間隙水に移行する」ことが示されています。理由は、明らかになってないみたい。ただ、底質環境の酸化によって、間隙水中のFeがDOMと共沈し、溶存DOM濃度が減少したことが関係しているかもと考察されてます。いろいろ不思議。
ほぼ読んでないけど、以下メモ。底生生物+底質+実排水での毒性試験をおこなっている例。
Magdeburg A., Stalter D. and Oehlmann J., 2012, Whole effluent toxicity assessment at a wastewater treatment plant upgraded with a full-scale post-ozonation using aquatic key species, Chemosphere, 88(8), 1008-1014.
用いている底生生物は、貧毛類の Lumbriculus variegatusとユスリカのChironomus riparius。