「omicsデータの用量応答モデル」
Smetanová S., Riedl J., Zitzkat D., Altenburger R. and Busch W., 2015, High throughput concentration‐response analysis for omics datasets, Environ. Toxicol. Chem., 34 (9), 2167-2180.
個体レベルではS字型の曲線(シグモイド曲線)の用量応答モデルを一般に用いますが、分子レベルではどうかという話。
マイクロアレイの発現データを、直線・指数・ミカエリスメンテン式・対数ロジスティック・ワイブル・U字型などの9つのモデルで回帰してます。RのdrcとDoseFindingパッケージを使用し、非線形最小二乗法でパラメータを決めて、AICでどのモデルが良いか判断している。遺伝子発現に関しては、指数・直線回帰+U字型がベストフィッティングなモデルになる割合が高いという結果(濃度がLC10以下だから?)。
読み始めの時は「曝露物質・濃度・応答のレベルによってフィットする用量-応答反応モデルは異なる」なんて当たり前だろうと思いましたが、結構面白いポイントを含んでるかも。発現解析した遺伝子を「用量応答反応のモデリング」と「生物学的な機能」でグループ分けした場合、両者はある程度リンクするそうです(Fig. 6)。Discussionでも触れられてますが、こういった解析の先にはMixtureでの応答のモデリングも可能になってくるんでしょうか(例えばGarcia-Reyero et al., 2012の発展版のような)。まだまだ課題山積みな感じもしますが。