Holmes SJ, 1903, Sex recognition among amphipods, Biological Bulletin 5(5): 288-292.
論文というかエッセイのような書き物。
ヨコエビのメスは脱皮直後にしか産卵しないため、オスはその瞬間を逃さぬようメスを背後から抱きかかえて過ごします。この行動は交尾前ガードと呼ばれています。交尾前ガードに至る前に、オスはどのようにしてメスを認識しているのか。その疑問を追求した論文です。筆者はヨコエビとしてHyalellaを使用してます。
まず視覚によって認識しているかどうかを検証すべく、オスの眼を黒く塗ってみたところ、すぐに交尾前ガードが観察されました。視覚が要因ではないようです。
次に嗅覚かどうかを検証すべく、匂いを感じる第一触覚を切ってみたところ、やはり変わらず交尾前ガードが観察されました。嗅覚でもないようです。
では何か。ヨコエビの動きを観察してると、オスは別にメスを追い回しているわけではないことが分かります。ただヨコエビは泳いでいると、他の個体とよく衝突します。その際、メスは(メス同士でも)丸まってじっとしてますが、オスは(オス同士でも)相手を掴もうと動き回ります。
この反応の違いこそ、交尾前ガードの要因のようです。検証のため、オスの第二顎脚を切断して抵抗できないようにしてみると、見事健全なオスによって掴まれてしまったそうです。