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a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

最近読んだ論文のメモ: 遺伝的変異と遺伝子発現

論文 生態系 分子生物学

「遺伝的変異と環境のばらつきが遺伝子発現に与える影響」

Scott C.P., Williams D.A. and Crawford D.L., 2009, The effect of genetic variation and environmental variation on metabolic gene expression, Mol. Ecol., 18, 2832-2843.

魚類などを使った既往研究では「mRNA発現の個体差は、遺伝的変異genetic variationが原因」ということが前提とされていたそうな。発現の個体差は自分も最近興味がありまして、この論文とかこの論文とかを読んでました。それらは、自分の意図とは違う研究でしたが、上記論文は面白かったです。

上記の論文の対象生物は海産魚マミチョグです。①野外で採取したばかりの個体と、②6か月実験室で馴致した個体、③10世代 実験室で継代飼育した個体の3種類を扱っています。ちなみにマミチョグは海産メダカなので、寿命は自然環境だと約1年です。

①-③の遺伝的変異とmRNA発現を調査。mRNA発現はマイクロアレイ(384 cDNA)で調査。

個体差の指標としてこの論文では発現量のばらつきを用いてます。mRNA発現のグループ内ばらつきは、②馴致個体が一番大きかったそうです。これが意外。次いで①野外採取個体、③10世代飼育個体。統計的にこねくり回すと「②≒①>③」になったそうです。様々な環境要因のせいで、ばらつきの大きさは「①>②>③」となるかと思いきや、という意外性。

この筆者たちは、野外の環境要因(塩分・DOなど)は発現の個体差へ影響力を持たないと結論付けてます(②≒①)。むしろ遺伝的要素や親の曝露環境が発現のばらつきに効いていると考えてます。しかし、②と③のRNA抽出直前の条件(体内時間とか空腹状況とか?)が詳細に書かれてないのが気になる。そういう記載されていない条件がばらつきの原因では。一応考察で、adultな個体のmRNAはtemporal variationが少ないという文献が引用されてました。

 

自身の研究に使えそうな知見

  • 284遺伝子発現のクラスター解析では、①も②も③も識別できず。
  • 継代飼育した個体③は、発現変動の個体間ばらつきが少ない。