備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

リスク

論文のメモ: 化学物質の毒性作用機序(MoA)の分類と生態リスク評価

化学物質の作用機序(mode of action; MoA) 。 あるMoAは特定の生物分類群に強い毒性を示すが、別の分類群には効きにくい。一方生態系の保護は、特定の分類群だけでなく、全ての分類群をなるべく対象にしたい。MoAの情報をどのように生態リスク評価・管理に役…

論文のメモ: 種の感受性分布における自己相関の補正

種の感受性分布(Species Sensitivity Distribution; SSD)。 化学物質に対する生物種の感受性は、経験的に対数正規分布にフィットすることが知られています。その性質を利用して累積分布関数で種の感受性を表現したのがSSDです。SSDを利用して5%の種が影響…

論文のメモ:ヨーロッパの新しい水質モニタリング (EDAや網羅的な化学分析)

年始に参加させてもらった、混合物・複合影響評価に関する勉強会。その内容に近い論文を読んでみました。 ヨーロッパでの水質モニタリングの話。 河川には人為起源の多数の化学物質が含まれるので、決められた少数の物質だけモニタリングの対象にしていては…

論文のメモ: トキシコゲノミクスのデータベースを生態毒性学に活用した例

トキシコゲノミクス(toxicogenomics)は、トキシコロジー(toxicology, 毒性学)とゲノミクス(genomics, ゲノム学)をあわせた言葉で、遺伝子の変異や発現変動を網羅的に見ることで生体内で生じる毒性影響のメカニズムを理解しようという学問です。 Compar…

リスク学

先日学部2年生の講義で、Mさんが講演に来てたので聞きに行きました。「リスク学」というタイトルで2時間ほどの講演でした。 広い視野の話から具体的な話まであって面白かったのですが、学部生は8割ぐらい寝てましたね。自分が学部生だった時を思うと仕方ない…

最近読んだ論文のメモ: SOMでの汚染源推定・GLM・実験室で使用する溶媒のハザード点数

「SOMを用いた底質重金属汚染源の推定」 Pandey M., Pandey A.K., Mishra A. and Tripathi B.D., 2015, Application of chemometric analysis and self Organizing Map-Artificial Neural Network as source receptor modeling for metal speciation in rive…

本「リスクに背を向ける日本人」

本書のテーマ自体は新しくないのですが、面白かったです。出てくるエピソードや知見が豊富だし、筆者たちの物の見方が新鮮で面白いのでしょう。 山岸俊男, メアリーCブリントン, 2010, リスクに背を向ける日本人, 講談社現代新書 概要 本書は乱暴にまとめる…

論文「東日本大震災での組織への信頼」・実験「AFLP」

中谷内一也,工藤大介,尾崎拓, 2014, 東日本大震災のリスクに深く関連した組織への信頼, 心理学研究, Vol. 85, No. 2, p. 139-147. 先日読んだ「安全。でも、安心できない…」の著者の論文。東日本大震災に関する 日本語論文があったので、ざっと読んでみまし…

本「安全。でも、安心できない 」「かのように」

中谷内一也, 2008,安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学―,ちくま新書 8/8読了。いや~面白かったです。以下、簡単に内容のまとめ*1。 ヒトの安全に実質的に影響がないレベルの食品偽装や自然災害であっても、ヒトは不安を感じてしまいます(例とし…