備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

2018-01-01から1年間の記事一覧

論文のメモ: Daphniaのストレス応答遺伝子データベース

「Daphnia stressor database: 10年来のDaphniaのomicsデータを遺伝子アノテーションにフル活用」 Ravindran SP, Lueneburg J, Gottschlich L, Tams V, Cordellier M, 2018, Daphnia stressor database: Taking advantage of a decade of Daphnia'-omics' da…

論文のメモ: 路面排水によるギンザケ死亡症候群

2000年代からアメリカ北部でギンザゲの死亡症候群が見られ、その原因として路面排水が疑われています。以下は、その一連の論文。NOAAとワシントン州立大学あたりが中心に研究してるみたいです。 「Puget Sound都市河川で頻発するギンザケ成魚の死亡」 Scholz…

海外学振の面接

一昨日、海外学振の面接でした。いや〜ダメでしょうね…。変に期待がなくなってスッキリはしてますが。 面接は11時ちょうどから。その30分前に麹町のビルに到着。受付を済ませて、控え室でスライドの動作確認。控え室には5人ほどの候補者がいて、動作確認とか…

「生物をシステムとして理解する」感想

8月の帰省の新幹線で読了。150ページで、タッチも軽いのでさっくり読めます。この分野に興味ある高校生とか学部生が読むのに良さそう。 現在の数学(統計学?)は物理学とともに発展してきたので、まだ実験誤差の大きい生物学には対応しきれていない、今後生…

「MCバトル史から読み解く日本語ラップ入門」感想

あとがきにもあるように、DARTHREIDERによる極私的MCバトル史の本。書名は盛りすぎ。 ヒップホップ界隈の一つのイベントでしかなかったMCバトルの変遷について。 2000年代中頃まではラッパーとしての生活の延長上にMCバトルが存在していました。ラッパーの余…

論文のメモ: AOP Networkについて

AOP(Adverse Outcome Pathways)に関する話。 ETCに出ていた以下のcompanion papers+αを読んで、AOPの理解が進んだので備忘録的に書いておきます。どちらもOpen Accessです。 ざっくり言うと、「AOPは個々に独立しているわけではなく別の複数のAOPsと関連し…

「傷はぜったい消毒するな」感想

どうして消毒してはいけないのか。それは、消毒によって細菌だけでなく人間の皮膚の細胞まで破壊され、さらに皮膚が乾燥してしまい、傷の治りが遅くなるから。また、消毒すると、皮膚常在菌が殺されて、その隙に病原性を持つ通過菌(例:黄色ブドウ球菌)が…

階層ベイズモデルを用いてバトルMCの強さランキングを作成する

誰が最強のMCなのか。MCバトル好きの間では常に議論になることです。 MCバトルの勝敗は、各MCの実力だけでなく、MCのコンディションやMC同士の相性、バトルの審査方法、会場の空気など様々な要因によって決まります。実力あるMCであっても意外な人物に惨敗し…

論文メモ: ヨコエビ Hyalella aztecaのゲノム

「底質毒性と進化毒性学のモデル生物:Hyalella aztecaのトキシコゲノム」 Poynton HC, Hasenbein S, Benoit JB, Sepulveda MS, Poelchau MF, Hughes DST, Murali SC, Chen S, Glastad KM, Goodisman MAD, Werren J, Vineis JH, Bowen JL, Friedrich M, Jone…

「ヒトゲノムを解読した男:クレイグベンター自伝」感想

ひと月くらい前に読了。 バイタリティに富んだ人間という一言に尽きます。 彼が海軍衛生兵としてベトナムへ従軍していた時の話。腹部に傷を負った二人の男が同時期に病院に運ばれてきた。ひとりは生きて当然だと思われたが、すぐに息を引き取った。もうひと…

論文のメモ: EDA・TIEについての最近の論文

最近出たEDA(Effect-Directed Analysis)とTIE(Toxicity Identification Evaluation)に関する論文。 「底質の複雑な毒性の診断:TIEとEDA」 Li H., Zhang J., You J., 2017, Diagnosis of complex mixture toxicity in sediments: application of toxicit…

海外ポスドク目指しての就活 ~公募アプライ編~

この時の続き。 この秋Marie-Curie FellowshipとCanon European Fellowshipに応募しましたが、12月中旬にCanonからはお祈り通知が来ました。Marie-Curieもおそらくダメだろう、ということで12月末から公募を探し始めました(遅い)。で、実際Mari-Curieはダ…

Marie-Curie fellowshipの結果が返ってきたよ

結果は惨敗。サクラ散る。 Marie-Curie Individual fellowshipはEUがお金を出しているフェローシップです。獲得すると、日本の大学教授並みの給料がもらえ、プラス旅費と家族手当、研究費が手に入り、同業者から一目置かれる(であろう)高ステータスなフェ…

相互情報量ベースのネットワーク分析 using R minet

先日WGCNA(Weighted Gene Coexpression Network Analysis)を試しに使ってみました(この記事 → 論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用)。しかし、遺伝子発現のデータは別に直線関係ばかりではないので(最近読んだ論文のメモ: omicsデータの用量応答…

論文のメモ: omics technologyとAOP

AOP(Adverse Outcome Pathways)の構築に、網羅的な生物応答の解析技術(omics)を用いて何ができるかというお話し。omicsの中でも特にtranscriptomicsについて。 「化学物質リスク評価へAOPを適用するうえでomicsの果たす役割」 Brockmeier EK, Hodges G, …

論文のメモ: トンネル洗浄水による遺伝子発現変動

「交通関係の汚染に曝露されたブラウントラウトの肝臓の遺伝子発現プロファイル」 Meland S, Farmen E, Heier LS, Rosseland BO, Salbu B, Song Y, Tollefsen KE, 2011, Hepatic gene expression profile in brown trout (Salmo trutta) exposed to traffic …

論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用

重み付き遺伝子共発現ネットワーク解析(WGCNA; weighted gene co-expression network analysis)のはなし。 「遺伝子共発現ネットワークによるDaphniaの繁殖影響予測」 Asselman J, Pfrender ME, Lopez JA, Shaw JR, De Schamphelaere KAC, 2017, Gene co-e…

去年の振り返りと2018年にやりたいこと

2017年の振り返りと、今年2018年にやりたいこと。 2017年は 、学位取得後ポスドクとして過ごした初めての年でした。ただ所属は変わってないこともあって、正直まだまだ学生気分で適当にやってます。2017年の始めに書いた目標(去年の振り返りと2017年にやり…