備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

生態毒性

論文のメモ: ToxCastデータとタンパク質配列を水生生物保全の基準値導出に活用する

Schaupp CM, LaLone CA, Blackwell BR, Ankley GT, Villeneuve DL, 2022, Leveraging ToxCast data and protein sequence conservation to complement aquatic life criteria derivation, Integr Environ Assess Manag, accepted. USEPAからの論文。SeqAPASS…

論文のメモ: 水質基準導出の毒性データにおける水生生物種の多様性

Coleman AL, Edmands S, 2022, Data and Diversity in the Development of Acute Water Quality Criteria in the United States, Environ Toxicol Chem 41(5): 1333-1343. 自然界の生物種の多様性に比べると、ごくわずかな生物種の毒性データに基づいて設定…

SETAC Europe 32nd Annual Meeting@Copenhagenにオンラインで参加しました

オンラインと現地のハイブリッド開催。 自分はオンラインのみで参加。ハイブリッドと言いつつ、ほぼ現地開催メインのようでした。Q&Aにほぼ書き込みを見なかったくらい、オンラインは全然盛り上がっていませんでした…。前回参加した完全オンラインのNorth Am…

論文のメモ:ニジマス鰓細胞のタイトジャンクションとイオン性有機物質

Fuchylo U, Alharbi HA, Alcaraz AJ, Jones PD, Giesy JP, Hecker M, Brinkmann M (2022). Inflammation of gill epithelia in fish causes increased permeation of petrogenic polar organic chemicals via disruption of tight junctions, Environmental …

論文のメモ: PPCPs汚染の世界規模でのモニタリング

Wilkinson JL, Boxall AB, Kolpin DW, Leung KM, Lai RW, Galbán-Malagón C, ... Teta C, 2022, Pharmaceutical pollution of the world’s rivers, Proc National Acad Sci 119(8). PNAS。世界規模で医薬品・生活関連物質(PPCPs)の測定を行った論文。読み…

論文のメモ: 甲殻類のPAH代謝とCYP

いつも地味に気になっているがすぐ忘れてしまうCYP代謝のメモ。 Ikenaka Y, Eun H, Ishizaka M, Miyabara Y, 2006, Metabolism of pyrene by aquatic crustacean, Daphnia magna, Aquatic Toxicol 80(2): 158-165. ミジンコにおける、PAHの1種ピレンの代謝産…

論文のメモ: 2022年に出た6PPD-Quinoneの報告

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると昨年末報告された6PPD quinone(6PPD-キノン; 6PPD-Q)の話(→昨年末のScience)。2021年の半ばまではまだ標準品がなかったので速報的なものが多かったですが(→2021年に出た論文のまとめ)、Scienceの論文発表から丸1…

論文のメモ: サケの産卵前致死の事例

サケが川に遡上してきて産卵前に死亡する現象(Prespawn mortality)。ギンザケを対象にしたScience論文のグループの研究(NOAA、ワシントン州立大学、ワシントン大学タコマ校など)ばかり追ってましたが、この現象は他のグループからも色々報告されてました…

論文のメモ: ギンザケに対する6PPD-キノンの急性毒性値の更新

2020年の末にワシントンのグループによって、降雨時のギンザケ死亡の原因物質であることが報告された6PPD-キノンの続報(参考:ギンザケの死亡を引き起こすタイヤ由来の化学物質)。 Tian Z, Gonzalez M, Rideout CA, Zhao HN, Hu X, Wetzel J, ... Kolodzie…

論文のメモ: 底質(毒性試験)における生物攪拌の影響

2歳半近くになりイヤイヤ期を脱した娘。この1年間くらい、だいたい同じ年齢の甥っ子や姪っ子(つまり娘にとってはいとこ)と会うたびに、おもちゃを取り合って衝突していましたが、ようやくそれが収まる兆しを見せてきたかも。帰省の間、数回に1回、自ら引く…

論文のメモ: マイクロプラスチックとバイオフィルム

論文書きのための論文読みばかり続くと、テンション下がってきますよね。漫然と読みたい時もある。てことで面白そうだったマイクロプラスチック論文。今のところマイクロプラには(ほぼ)自らの研究でかかわってませんが、来年度はいくつか関わりそうな感じ……

SETAC NA 42nd Annual Meeting

オンライン開催。 自分は共著の発表一つだけしかしていませんが、いくつか発表を聞いてました。オンライン開催だと、新しいヒト・発表への出会いが中々うまくいかない反面、いつでも発表が聞けるのは嬉しい。なお、リアルタイムの催しは一つも参加できません…

論文のメモ: AOPとComplex simplicity

Knapen D, 2021, Adverse outcome pathways and the paradox of complex simplicity, Environ Toxicol Chem. in press. 短い意見論文。ET&CのPoints of Referenceという枠。 AOP NetworkのKnapen氏が書いてたので、読んでみました。 AOP(Adverse Outcome Pa…

論文のメモ: 2021年に出た6PPD-Qの報告

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると昨年末報告された6PPD quinone(6PPD-キノン)の話(→昨年末のScience)。今年になって環境分析の結果がいくつか出てきたので、まとめ。 Huang W, Shi Y, Huang J, Deng C, Tang S, Liu X, Chen D, 2021, Occurrence of…

論文のメモ: 洪水による底質中汚染物質の移動と生態影響

日本でもスコールみたいな雨が頻発するようになって久しいですが、増水や洪水による(化学物質の移動を介した)生態影響の話。 Crawford SE, Brinkmann M, Ouellet JD, Lehmkuhl F, Reicherter K, Schwarzbauer J, ... Hollert H, 2021, Remobilization of p…

論文のメモ: イオン性物質の生態リスク評価

水/オクタノール分配係数(KOW)でざっくりと生物蓄積性を推定できる中性物質と比べて、生物蓄積・毒性の予測が困難なイオン性有機物質の話。 Escher BI, Abagyan R, Embry M, Klüver N, Redman AD, Zarfl C, Parkerton TF, 2020, Recommendations for impro…

論文のメモ: 魚類(胚)を用いた底質毒性試験

魚類を用いた底質の毒性試験。 魚は水中(水柱)にいるのに底質の汚染評価に使えるのかとか、bioavailabilityの問題がどう解釈されているのか知りたくてざっと読んでみました。 Saiki P., Mello-Andrade F, Gomes T, Rocha TL, 2021, Sediment toxicity asse…

論文のメモ: 高分解能質量分析と分子レベルのターゲット予測手法(SEA)の組み合わせ

Kumar N, Zhao HN, Awoyemi O, Kolodziej EP, Crago J, 2021, Toxicity Testing of Effluent-Dominated Stream Using Predictive Molecular-Level Toxicity Signatures Based on High-Resolution Mass Spectrometry: A Case Study of the Lubbock Canyon Lak…

論文のメモ: 路面排水に曝露したギンザケに現れる症状

昨年末に出たScience論文の関連(→その時の自分のメモ)。 Blair SI, Barlow CH, McIntyre JK. 2021. Acute cerebrovascular effects in juvenile coho salmon exposed to roadway runoff. Canadian J Fish Aquat Sci 78(2): 103-109. 血液脳関門(BBB; Bloo…

論文のメモ: ヨコエビの底質毒性試験における餌の影響

Harkey GA, Driscoll SK, Landrum PF, 1997, Effect of feeding in 30‐day bioaccumulation assays using Hyalella azteca in fluoranthene‐dosed sediment. Environ Toxicol Chem 16(4), 762-769. このグループの論文、いっぱいあってどれに何が書いてあっ…

論文のメモ: 溶存有機物によるピレンのオオミジンコへの取り込み量増加

Lin H, Xia X, Jiang X, Bi S, Wang H, Zhai Y, Wen W, Guo X, 2018, Bioavailability of pyrene associated with different types of protein compounds: Direct evidence for its uptake by Daphnia magna. Environ Sci Technol 52(17): 9851-9860. 面白い…

論文のメモ: 平衡分配法EqPと曝露経路

Jager T, 2004, Modeling ingestion as an exposure route for organic chemicals in earthworms (Oligochaeta), Ecotoxicol Environ Safety 57(1): 30-38. General Unified Threshold model of Survival (GUTS) のJagerさんの論文。この論文以外にも昔はミ…

論文のメモ: ギンザケの死亡を引き起こすタイヤ由来の化学物質が同定される

悔しい気持ちはあるけど、それ以上に妄想が広がって楽しい。ただ悔しい気持ちが少ないのは、今はもうこの界隈から手を引きかけていたからかも。 Tian Z, Zhao H, Peter KT, Gonzalez M, Wetzel J, Wu C, ... McIntyre JK, Kolodziej EP, 2020, A ubiquitous …

論文のメモ: 土壌汚染の生態リスク評価 ~平衡分配や有機物含量による標準化など~

土壌汚染の生態リスク評価について。 底質のリスク評価では、間隙水と底質と生物の3相で化学物質の平衡状態を仮定する平衡分配理論(Equilibrium Partitioning Theory; EqP)を割と良い感じで使えて、非イオン性の有機物については、間隙水のフリー溶存態で…

GUTSモデルのRパッケージ

TK-TD(Toxicokinetics-Toxicodynamics)モデルのGUTS(General Unified Threshold model of Survival)のRパッケージについて。なぜか2つもあってややこしいので、メモ。 GUTSは、Tjalling Jagerさんらが2011年に発表したTK-TDモデルの一つで、Critical Bod…

論文のメモ: クロレラとマイクロプラスチックとミジンコ

Albini D, Fowler MS, Llewellyn C, Tang KW, 2020, Turning defence into offence? Intrusion of cladoceran brood chambers by a green alga leads to reproductive failure, Royal Society Open Sci 7(9): 200249. 偶然出あった論文。 緑藻類のクロレラが…

論文のメモ: 生物種によって感受性が異なるのはなぜか? その2

この記事の続き。 化学物質に対する感受性が生物種によってなぜ異なるのか、という問題。そのものズバリな総説が出てました。 van den Berg SJ, Maltby L, Sinclair T, Liang R, van den Brink PJ, 2020, Cross-species extrapolation of chemical sensitivi…

論文のメモ: 分配係数 Kocの値に何を使用するか

このへんの話 の続き。忘れそうなのでメモ。 Norman JE, Kuivila KM, and Nowell LH, 2012, Prioritizing pesticide compounds for analytical methods development: U.S. Geological Survey Scientific Investigations Report 2012–5045, 206 p. USGSでは、…

論文のメモ: 生物種によって感受性が異なるのはなぜか?

Narcoticな毒性(あるいはbaseline toxicity)は、物質が生物膜に移行して、膜の完全性(integrity)を破壊するために生じると言われています。 そして毒性の大きさは、一般に生物種を問わず、脂質中の物質濃度で決まるとされています。 一方、生物体内の受…

論文のメモ: 土壌・底質汚染についてのET&C Points of Reference

最近ET&C(Environmental Toxicology & Chemistry)にPoints of Referenceなる短いコーナーが出来ました。1,000 words以内の査読なしの意見論文だそうです。そのPoRに、今年になって土壌、底質の話が何度か登場していたので、メモっておきます。 Neaman A, S…