備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

生態毒性

論文のメモ: 魚類急性致死試験の代替法としてのFET試験の改良

魚類胚を用いた急性毒性試験(Fish Embryo Acute Toxicity Test; FET試験)の話。代替試験法を従来の試験法に近づける話という意味では、この記事の話などに近いです。 Reichstein IS, Becker AH, Johann S, Braunbeck T, Schiwy S, Hollert H, Schiwy A, 20…

論文のメモ: MP影響実験での底質中MP濃度の定量

マイクロプラスチック(MP)の話。MPの影響を調べた論文はもうすでにめちゃくちゃ多いですが、実はMPの曝露濃度を実際に測っている研究は多くないそうです。もっとも、蛍光ビーズを用いた場合は実測している場合も多いでしょうが、ファイバーやフラグメント…

2024年に出た6PPD-quinoneの論文

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると2020年の年末に報告された6PPD quinone(6PPD-キノン; 6PPD-Q)の話(→2020年のScience)。6PPD-Qに関する全ての論文を詳細に読むことは既に辞めてますが、いくつか面白かったものをここにピックアップしておきます。 …

環境化学・生態毒性関連の査読付き雑誌に関する所感 ~2024年1月時点~

環境化学および生態毒性関連の査読付き雑誌(ジャーナル)についての所感。現時点で思ったことを記録として残しておきます。誰かに提言しているわけではなく、将来の自分のために個人的なスタンスを書き残しているという感じ。想定しているのは以下の表のよ…

論文のメモ: ToxCast/Tox21によるin vivoの生態毒性予測の可能性

Palomares IMR, Bone AJ, 2024, Predictive value of the ToxCast/Tox21 high throughput toxicity screening data for approximating in vivo ecotoxicity endpoints and ecotoxicological risk in eco-surveillance applications, Sci Total Environ 16978…

論文のメモ: 化学物質曝露による遺伝子発現の時系列変化

化学物質の生物影響を調べる室内実験は、その多くが濃度応答反応を見ていて、時間と応答の関係を見ている研究は比較的少ないです。ここでは化学物質に曝露して、遺伝子発現応答の時間変化を追った研究について。 Schüttler A, Altenburger R, Ammar M, Bader…

論文のメモ: ToxCastデータと生態毒性in vivoデータの比較

Schaupp CM, Maloney EM, Mattingly KZ, Olker JH, Villeneuve DL, 2023, Comparison of in silico, in vitro, and in vivo toxicity benchmarks suggests a role for ToxCast data in ecological hazard assessment, Toxicological Sciences 195(2): 145-15…

2023年に出た6PPD-quinoneの報告

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると2020年の年末に報告された6PPD quinone(6PPD-キノン; 6PPD-Q)の話(→2020年のScience)。当時はCAS番号が割り振られていないなど、全くの新規物質でしたが環境中での検出例や動態、毒性に関する報告が色々と出てきま…

論文のメモ: 近年の生態毒性分野でのトランスクリプトーム解析

3歳半になった娘と暮らしていると、クレヨンしんちゃん(原作。アニメはほとんど知らない。)は、育児マンガだったんだなと良く思います。昔読んだクレしんの場面が頻繁に脳内再生されます。 生態毒性な分野でのRNA-Seq解析の使われ方について。何か特定の物…

SETAC North America 34-th Annual Meeting をチラ見した

11月13~17日にピッツバーグで開催されました。私は全く参加していませんが、要旨集がネットで見られるので主に6PPD-キノン(6PPD-Q)に関する発表でどんなのがあったのかをざっと確認してみました。 6PPD-Qに関する発表は全18件あり、そのうち8件が生態毒性…

論文のメモ: ベイジアンネットワークによる魚類急性毒性の予測

Belanger SE, Lillicrap AD, Moe SJ, Wolf R, Connors K, Embry MR, 2022, Weight of evidence tools in the prediction of acute fish toxicity. Integr Environ Assess Manag, in press. P&GのScott Belangerらによるレビュー。動物愛護・動物福祉の観点か…

論文のメモ: 種の感受性分布を考慮したPAHsの底質基準

Zhang Y, Yin J, Qv Z., Chen H, Li H, Zhang Y, Zhu L, 2022, Deriving freshwater sediment quality guidelines of polycyclic aromatic hydrocarbons using method of species sensitivity distribution and application for risk assessment, Water Res …

論文のメモ: ToxCastデータとタンパク質配列を水生生物保全の基準値導出に活用する

Schaupp CM, LaLone CA, Blackwell BR, Ankley GT, Villeneuve DL, 2022, Leveraging ToxCast data and protein sequence conservation to complement aquatic life criteria derivation, Integr Environ Assess Manag, accepted. USEPAからの論文。SeqAPASS…

論文のメモ: 水質基準導出の毒性データにおける水生生物種の多様性

Coleman AL, Edmands S, 2022, Data and Diversity in the Development of Acute Water Quality Criteria in the United States, Environ Toxicol Chem 41(5): 1333-1343. 自然界の生物種の多様性に比べると、ごくわずかな生物種の毒性データに基づいて設定…

SETAC Europe 32nd Annual Meeting@Copenhagenにオンラインで参加しました

オンラインと現地のハイブリッド開催。 自分はオンラインのみで参加。ハイブリッドと言いつつ、ほぼ現地開催メインのようでした。Q&Aにほぼ書き込みを見なかったくらい、オンラインは全然盛り上がっていませんでした…。前回参加した完全オンラインのNorth Am…

論文のメモ:ニジマス鰓細胞のタイトジャンクションとイオン性有機物質

Fuchylo U, Alharbi HA, Alcaraz AJ, Jones PD, Giesy JP, Hecker M, Brinkmann M (2022). Inflammation of gill epithelia in fish causes increased permeation of petrogenic polar organic chemicals via disruption of tight junctions, Environmental …

論文のメモ: PPCPs汚染の世界規模でのモニタリング

Wilkinson JL, Boxall AB, Kolpin DW, Leung KM, Lai RW, Galbán-Malagón C, ... Teta C, 2022, Pharmaceutical pollution of the world’s rivers, Proc National Acad Sci 119(8). PNAS。世界規模で医薬品・生活関連物質(PPCPs)の測定を行った論文。読み…

論文のメモ: 甲殻類のPAH代謝とCYP

いつも地味に気になっているがすぐ忘れてしまうCYP代謝のメモ。 Ikenaka Y, Eun H, Ishizaka M, Miyabara Y, 2006, Metabolism of pyrene by aquatic crustacean, Daphnia magna, Aquatic Toxicol 80(2): 158-165. ミジンコにおける、PAHの1種ピレンの代謝産…

論文のメモ: 2022年に出た6PPD-Quinoneの報告

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると昨年末報告された6PPD quinone(6PPD-キノン; 6PPD-Q)の話(→昨年末のScience)。2021年の半ばまではまだ標準品がなかったので速報的なものが多かったですが(→2021年に出た論文のまとめ)、Scienceの論文発表から丸1…

論文のメモ: サケの産卵前致死の事例

サケが川に遡上してきて産卵前に死亡する現象(Prespawn mortality)。ギンザケを対象にしたScience論文のグループの研究(NOAA、ワシントン州立大学、ワシントン大学タコマ校など)ばかり追ってましたが、この現象は他のグループからも色々報告されてました…

論文のメモ: ギンザケに対する6PPD-キノンの急性毒性値の更新

2020年の末にワシントンのグループによって、降雨時のギンザケ死亡の原因物質であることが報告された6PPD-キノンの続報(参考:ギンザケの死亡を引き起こすタイヤ由来の化学物質)。 Tian Z, Gonzalez M, Rideout CA, Zhao HN, Hu X, Wetzel J, ... Kolodzie…

論文のメモ: 底質(毒性試験)における生物攪拌の影響

2歳半近くになりイヤイヤ期を脱した娘。この1年間くらい、だいたい同じ年齢の甥っ子や姪っ子(つまり娘にとってはいとこ)と会うたびに、おもちゃを取り合って衝突していましたが、ようやくそれが収まる兆しを見せてきたかも。帰省の間、数回に1回、自ら引く…

論文のメモ: マイクロプラスチックとバイオフィルム

論文書きのための論文読みばかり続くと、テンション下がってきますよね。漫然と読みたい時もある。てことで面白そうだったマイクロプラスチック論文。今のところマイクロプラには(ほぼ)自らの研究でかかわってませんが、来年度はいくつか関わりそうな感じ……

SETAC NA 42nd Annual Meeting

オンライン開催。 自分は共著の発表一つだけしかしていませんが、いくつか発表を聞いてました。オンライン開催だと、新しいヒト・発表への出会いが中々うまくいかない反面、いつでも発表が聞けるのは嬉しい。なお、リアルタイムの催しは一つも参加できません…

論文のメモ: AOPとComplex simplicity

Knapen D, 2021, Adverse outcome pathways and the paradox of complex simplicity, Environ Toxicol Chem. in press. 短い意見論文。ET&CのPoints of Referenceという枠。 AOP NetworkのKnapen氏が書いてたので、読んでみました。 AOP(Adverse Outcome Pa…

論文のメモ: 2021年に出た6PPD-Qの報告

ギンザケ死亡症候群の原因物質であると昨年末報告された6PPD quinone(6PPD-キノン)の話(→昨年末のScience)。今年になって環境分析の結果がいくつか出てきたので、まとめ。 Huang W, Shi Y, Huang J, Deng C, Tang S, Liu X, Chen D, 2021, Occurrence of…

論文のメモ: 洪水による底質中汚染物質の移動と生態影響

日本でもスコールみたいな雨が頻発するようになって久しいですが、増水や洪水による(化学物質の移動を介した)生態影響の話。 Crawford SE, Brinkmann M, Ouellet JD, Lehmkuhl F, Reicherter K, Schwarzbauer J, ... Hollert H, 2021, Remobilization of p…

論文のメモ: イオン性物質の生態リスク評価

水/オクタノール分配係数(KOW)でざっくりと生物蓄積性を推定できる中性物質と比べて、生物蓄積・毒性の予測が困難なイオン性有機物質の話。 Escher BI, Abagyan R, Embry M, Klüver N, Redman AD, Zarfl C, Parkerton TF, 2020, Recommendations for impro…

論文のメモ: 魚類(胚)を用いた底質毒性試験

魚類を用いた底質の毒性試験。 魚は水中(水柱)にいるのに底質の汚染評価に使えるのかとか、bioavailabilityの問題がどう解釈されているのか知りたくてざっと読んでみました。 Saiki P., Mello-Andrade F, Gomes T, Rocha TL, 2021, Sediment toxicity asse…

論文のメモ: 高分解能質量分析と分子レベルのターゲット予測手法(SEA)の組み合わせ

Kumar N, Zhao HN, Awoyemi O, Kolodziej EP, Crago J, 2021, Toxicity Testing of Effluent-Dominated Stream Using Predictive Molecular-Level Toxicity Signatures Based on High-Resolution Mass Spectrometry: A Case Study of the Lubbock Canyon Lak…