備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

論文「時間経過によって土壌中PAHの分布はどう変化するか」

PAH(多環芳香族炭化水素)は、疎水的な性質のために土壌や底質に多く蓄積してます。土壌や底質中のPAHは、粒子表面に吸着していたり、あるいは粒子の微細孔に隔離されたりしています。そのため、容易に抽出されにくかったり、生物に利用されにくかったりし…

音楽「stillichimiya・THA BLUE HERB」

山梨のstillichimiyaの新譜「ズンドコ節」。頭から離れなくなってしまった。 stillichimiya【MV】ズンドコ節 - YouTube THA BLUE HERBの1st Album「STILLING,STILL DREAMING」。 このころのTBHはすごいぎらぎらしてます。テンション高すぎ。やくざ映画を見た…

論文「キャリアーとしての有機溶媒の使用:実務・統計・レギュラトリー面での考察」

水生生物の毒性試験で疎水性物質を扱う際は、通常キャリアとして有機溶媒を用いることを先日書きました(8/21記「疎水性物質の毒性試験について」)。 そのキャリア溶媒(carrier solvents)に関する総説。以下は、この総説を読んでのまとめ。 Green J. and …

スパラクーア・雑記「学ぶことを今すぐやめよう」

昨日、後楽園のスパ・ラクーアに行ってきました。普段湯船につからないから、たまに温泉に入るとすごく気持ち良いです。 平日の昼間というのに、人が大勢いて驚きました。ヒーリングバーデという、追加料金を払って低温サウナなどを楽しめる場所は、夕方には…

環境中のPAHs・論文「シドニーの路面堆積物・土壌・底質中のPAHs」

PAHs(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons;多環芳香族炭化水素)はN,O,Sなどのヘテロ原子や置換基を含まない、複数の芳香環からなる炭化水素の総称です。例えば代表的なPAHsにbenzo[a]pyreneがあります。 図:benzo[a]pyrene 多くのPAHsは変異原性や発がん性…

論文「異なる塩分下でのエビM. sintangenseへのCd毒性」

水生生物への重金属の毒性、蓄積は色々な要因の影響を受けます。塩分もその一つです。一般に塩分が低いほど、重金属の毒性は増加します。塩化物イオンとの錯体を形成する重金属の割合が減少し、bioavailabilityの高いフリー態が多くなることや、生物膜に対す…

疎水性物質の毒性試験について

水に溶けにくい物質、すなわち疎水性物質(Hydrophobic Organic Chemicals;HOC)の毒性試験はやっかいです。「試験溶液をどうやって作成するか」が難しいためです。 例えば10 µg/L(= 10 ppb)の溶液1 Lを作成したい場合。 はかりでHOCを1 mgまで測定できる…

本「和解」

志賀直哉, 和解, 新潮文庫 久しぶりに読んだ。志賀直哉ってほんと頑固野郎ですね。家族とか奥さんが大変だろうな。でもその率直なところが憎めないというか、魅力なんでしょうね。 中身、筋はほとんど何もないといって良い小説です。 和解 (新潮文庫) 作者: …

論文「HOCの拡散速度とDOC」・音楽「恋におちたら」

Mayer P. et al., 2007, Enhanced diffusion of polycyclic aromatic hydrocarbons in artificial and natural aqueous solutions, Environ. Sci. Technol., 47, 6148-6155. 昨日に引き続き、HOC(Hydrophobic organic chemicals;疎水性有機物質)に関する論…

論文「HOCの生物移行とDOC」

ter Laak T.L. et al., 2009, Dissolved organic matter enhances transport of PAHs to aquatic organisms, Environ. Sci. Technol., 43, 7212-7217. 「水生生物への重金属の毒性にどのような因子が影響するか」は良く研究されています。フリー態が最もavai…

雑記「アプリ:その本、図書館にあります。」

「その本、図書館にあります。」というアプリをインストールしました。Amazonで本を購入する際に、その書籍が図書館にあるか、貸出中かどうかを教えてくれるアプリです(参考URL)。めっちゃ良いですね、これ。無駄な出費が大分浮きそうです。

論文「東日本大震災での組織への信頼」・実験「AFLP」

中谷内一也,工藤大介,尾崎拓, 2014, 東日本大震災のリスクに深く関連した組織への信頼, 心理学研究, Vol. 85, No. 2, p. 139-147. 先日読んだ「安全。でも、安心できない…」の著者の論文。東日本大震災に関する 日本語論文があったので、ざっと読んでみまし…

本「安全。でも、安心できない 」「かのように」

中谷内一也, 2008,安全。でも、安心できない…―信頼をめぐる心理学―,ちくま新書 8/8読了。いや~面白かったです。以下、簡単に内容のまとめ*1。 ヒトの安全に実質的に影響がないレベルの食品偽装や自然災害であっても、ヒトは不安を感じてしまいます(例とし…

2014.08.09(土)-11(月) 京都旅行

週末+月曜で京都の天橋立に行ってきました。新幹線と電車を乗り継いで。 ちょうど台風11号が来たところで、京都から先の電車が遅れに遅れてしまい、夕方にはつく予定が夜の11時ごろになってやっと着く羽目に・・・。 日曜日も台風が直撃していてずっと屋内…

2014.08.08(金) 東京湾納涼船

東京湾の納涼船に乗ってきました。 納涼船という言葉の響きから、こじんまりとした屋形船みたいなのを想像してましたが、5つぐらいフロアがある大型船でした。 「納涼船」とグーグルで検索したら関連ワードの一つ目に「ナンパ」と出てくるぐらいで、周囲には…

実験「cDNA-AFLP・アイソシゾマー」

cDNA-AFLPにトライ中。 全くバンド・ピークが見られなかった。逆転写までは上手くいっているので(アガロースゲル泳動で確認)、何が問題なんだろう、と実験手順を見直しました。 本来はMseIを制限酵素に使う実験で、MseIのアイソシゾマー(同じ認識配列を持…

本「生命はなぜ生まれたのか」・論文「底質試験での餌」

高井研, 2011, 生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る, 幻冬舎新書 「地球生物の起源」とタイトルにありますが、本書で対象としているのは、地球で本当に始めに生まれた生命ではなくて、ずっと繋がった末に現在の地球生命までたどり着いた生命で…

【論文】生態毒性: 淡水と海水における種感受性分布(SSD)比較

Freshwater to saltwater toxicity extrapolation using species sensitivity distributions Wheeler J.R. et al. 2002,Environ. Toxicol. Chem., Vol.21,No.11,p.2459-22467 手法 アンモニア、重金属、殺虫剤、narcotic cmopounds(ベンゼン・フェノール・ト…

【論文】生態毒性: LASのPEC及びPNEC推定-淡水と海水の比較-

Marine Risk Assessment: Linear alkylbenzenesulphonates (LAS) in the North Sea Temara A. et al. 2001, Marine Pollution Bulletin, Vol.42,No.8,p.635-642 概要・感想 LASに対する水生生物の感受性を文献調査してみたところ、急性試験では淡水と海水と…

【論文】生態毒性: DOMはCdのMobilityには影響するが藻類による取り込みには影響しない

Natural dissolved organic matter mobilizes Cd but does not affect Cd uptake by the green algae Pseudokirchneriella subcapitata (Korschikov) in resin buffered solutions Verheyen L., Versieren L. and Smolders E. 2014, Aquatic Toxicol., Vol.1…

【論文】生態毒性:分子生物学的手法によるオオミジンコに対する毒性要因の特定

The molecular toxicity identification evaluation (mTIE) approach predicts chemical exposure in Daphnia magna 「オオミジンコの毒性要因を分子生物学的手法を用いて特定する試み(mTIE)」 P. Antczak, H.J.Jo, S. Woo, L. D. Scanlan, H. C. Poynton,…

【本】HSPと分子シャペロン

「HSPと分子シャペロン」 -生命を守る驚異のタンパク質- 水島徹 著 講談社 2012年 生命を脅かすあらゆるストレスからタンパク質を守り誕生から、機能を失い分解されるまでタンパク質のために健気に働く「タンパク質」。それが、HSPであり、分子シャペロンだ…

環境毒性学会@東洋大学

※本記事は2013/09/10に別のブログ用に書いたものの転記。 9/7~8の環境毒性学会@東洋大学 に行ってきました。 またしても自身の発表ではなく、ただ遊びに。 主に聞きたかったのは、化学物質によるリスクと生態系に関するシンポジウムですが、期待を上回る面…

ブルーカーボンについて @土木学会 全国大会

※本記事は2013/09/06に別のブログ用に書いたものの転記。 日本大学津田沼キャンパスでの土木学会・全国大会(2013.9.4-6)に行ってきました。自分の発表ではなく、人の発表を聞きに行っただけです。 結果的には行って良かったです。ただ、高額な参加費を先生に…

【本】東大教授

「東大教授」沖 大幹 著 新潮新書 2014年 現役教授だからこそ、ここまで書けた!「東大教授」とは、どのような職業なのか。年収や学歴は?適性は?勤務時間は?専門分野の選び方やキャリアの積み方は?入試の必勝法、教育や研究の醍醐味、出世の条件や名誉教…

【論文】生態毒性: 底生系食物網における有機物質の蓄積

An equilibrium model of organic chemical accumulation in aquatic food webs with sediment interaction Thomann R.V., Connolly J.P. and Parkerton T.F. 1992, Environ. Toxicol. Chem., Vol.11, p.615-629. 疎水性物質の多くは、底質に蓄積しています…