備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

統計

論文のメモ: ベイジアンネットワークによる魚類急性毒性の予測

Belanger SE, Lillicrap AD, Moe SJ, Wolf R, Connors K, Embry MR, 2022, Weight of evidence tools in the prediction of acute fish toxicity. Integr Environ Assess Manag, in press. P&GのScott Belangerらによるレビュー。動物愛護・動物福祉の観点か…

階層ベイズモデルを用いてバトルMCの強さランキングを作成する

誰が最強のMCなのか。MCバトル好きの間では常に議論になることです。 MCバトルの勝敗は、各MCの実力だけでなく、MCのコンディションやMC同士の相性、バトルの審査方法、会場の空気など様々な要因によって決まります。実力あるMCであっても意外な人物に惨敗し…

相互情報量ベースのネットワーク分析 using R minet

先日WGCNA(Weighted Gene Coexpression Network Analysis)を試しに使ってみました(この記事 → 論文のメモ: 生態毒性研究へのWGCNAの適用)。しかし、遺伝子発現のデータは別に直線関係ばかりではないので(最近読んだ論文のメモ: omicsデータの用量応答…

論文のメモ: 環境毒性分野での遺伝子発現データと機械学習

マイクロアレイやRNA-seqの遺伝子発現データから、機械学習を使って情報を引き出す話。例えば、発がん性物質に曝露したデータと曝露してないデータを与えて、発がん性の有無を識別できる遺伝子(バイオマーカー)を探索する研究などがあるかと思います。昔こ…

リアルタイムPCRで発現量比の差を解析する統計的手法

リアルタイムPCRで発現解析時の統計手法 遺伝子Aの発現量が条件αと条件βで変わらないかどうか、リアルタイムPCRで調べたい。そんなときの話です。 複数のハウスキーピング遺伝子のCt値(あるいはCp値)と遺伝子AのCt値との差(=ΔCt)を条件α・βごとに求めて…

論文のメモ: DEGの選択方法

発現が変動している遺伝子 DEG (Differentially expressed genes) を検出、選別する方法。マイクロアレイに関してはたくさんの手法が提案されていて、いくつか読んでみました。 「Rank Products法」 Breitling R. Armengaud P., Amtmann A. and Herzyk P., 2…

決定係数R2について

今さら何をと言われるかもですが、決定係数の話。 最小二乗法での線形回帰をおこない、決められた目的変数に対してどの説明変数が最も当てはまりが良いかを選ぶという解析をしてます。 その当てはまりの良さの指標としてとりあえず、相関係数・決定係数・AIC…

最近読んだ論文のメモ: AFLPとGLM・q値

AFLPのような0/1データ*1をどうやって量的データと関連付けようか、その参考にした論文。 「低木の燃焼性の違いを説明できる遺伝的要因」 Moreira B., Castellanos M.C. and Pausas J.G., 2014, Genetic component of flammability variation in a Mediterra…

最近読んだ論文のメモ: 仮説検定の報告の仕方・nMDSデータの示し方

日野明徳, 2015, 環境影響評価における海と陸の同床異夢, 日本水産学会誌, 81(2), 205-205. 「代表生物種」を決めて環境評価をおこなうプロセスは妥当なのか、という問題提起。耳の痛い話です。 静的な現象のみ対象にしていれば、代表種を決めるのもおかしな…

最近読んだ論文のメモ: 環境要因と群集構造の比較法 (CCA, RDAなど)

前回に引き続き、類似度データ解析法の勉強中。 しかしいろんな多変量解析手法がありすぎて、ちょっとパンクしそうです。たくさんの手法をざざっと見る段階は終えて、そろそろ一つ・二つの手法を深く理解しなければ…。 下の総説3つを読んで、基礎理解。 長谷…

最近読んだ論文のメモ: 類似度のグループ間比較法について (perMANOVA, ANOSIMなど)

前回に引き続き、類似度のデータ解析方法を勉強中。特に生態学分野での、群集間における種構成の比較法。どれもあまり真面目には読んでません。 色々読んでると、類似度を算出するためのデータ前処理法が結構バラバラです。log変換、2乗根変換など。 「ヤナ…

最近読んだ論文のメモ: 遺伝子発現レベルでのSSD・類似度検定PERMANOVA

「遺伝子発現レベルでの種感受性分布 SSD」 Yan Z., Yang N., Wang X., Wang W., Meng S. and Liu Z., 2012, Preliminary analysis of species sensitivity distribution based on gene expression effect, Sci. China Earth Sci., 55(6), 907-913. Cd, Cu, …

最近読んだ論文のメモ: SOMでの汚染源推定・GLM・実験室で使用する溶媒のハザード点数

「SOMを用いた底質重金属汚染源の推定」 Pandey M., Pandey A.K., Mishra A. and Tripathi B.D., 2015, Application of chemometric analysis and self Organizing Map-Artificial Neural Network as source receptor modeling for metal speciation in rive…

最近読んだ論文のメモ: 複合毒性のGLMM解析・p値の誤解

「omicsの問題点」 Livingstone S.G., Smith M.J., Silva D.S. and Upshur R.E., 2015, Much ado about omics: welcome to ‘the permutome’, J. Evaluation Clinical Practice, in press. タイトルのpopさにつられて読んだけど、中身はなさそうです。transcr…

最近読んだ論文のメモ: cDNA-AFLPの注意点・類似度の算出・泳動のずれ補正

「生態リスク評価において何を守るべきか、常に問い続ける必要」 Iwasaki Y. and Clements W.H., 2015, A Continuous Need To Determine What We Should Protect In Ecological Risk Assessments, Environ. Sci. Technol., in press. 割とタイトル通りのview…

WelchのANOVAは「分散=0」のデータには使えない

盲目的にWelchの検定をやってしまっていました(参考:こちら)。 WelchのANOVAでは、各群の分散を用いてF値と自由度を求めるから、「分散=0」つまり測定値が全部同じデータには使えないんですね。式で表すと下のようになります。VwがF値。自由度はJ-1とΔで…

ベイズの定理

「異端の統計学ベイズ」を読んでいて。 最近、ベイズ統計に触れる機会があるのですが、いまいち胸に落ちる感じがしません。数式がダメなら、お話から入ってみようと思い上記の本を読んでみました。 すると、すごい分かりやすい(気がする)。ベイズの定理を…

最近読んだ論文のメモ: Welchのt検定・個体差と環境変動・遺伝子発現と親の産地

「海洋での"閉鎖的な"ネットワーク」 Limardo A.J. and Worden A.Z., 2015,Microbiology: Exclusive networks in the sea, Nature, 522, 36-37. Natureのニュース記事。藻類と細菌の間での物質のやりとりに関する話。藻類の種は同じでも系統strainが変わると…