Vosら(1995)によって開発されたオリジナルのAFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)は、放射性標識されたプライマーを使用していました。しかし蛍光色素で標識する方が、放射性標識より分析は簡易です。
ただ蛍光標識を用いたAFLPをfAFLP(flourescent AFLP)には、次のような課題があるそうです。
- 高分子(>200 bp)の断片が見られにくい*1。
- ピーク強度が安定しない。
そこで、これらの課題に対する解決策として、Selective PCRにおけるプライマー濃度、Taqポリメラーゼの種類、PCRの各ステップの時間などを最適化してみた、という論文です。論文のタイトルは「getting the most out of fAFLP」なんですが、言い過ぎですし、研究内容をもう少し具体的に書いてほしいです。
Trybush S., Hanley S., Cho K-H., Jahodova S., Grimmer M., Emelianov I., Bayon C. and Karp A., 2006, Getting the most out of fluorescent amplified fragment length polymorphism, Can. J. Bot., 84, 1347-1354.
結果と考察を、メモとして簡単にまとめます。すべてselective PCRの条件について。
- DNAシーケンサーで得られるAFLPのピークに対して影響の最も大きかった要素は、Taqポリメラーゼ。AmpliTaq Gold PCR Master Mixか、Qiagen Multipulex PCR kitが、良いそう。Selective PCRではhot-startのポリメラーゼを使って、非特異的な増幅を防ぐべき。
- 鋳型DNAの量はあまりAFLPプロファイルに影響しない。
- MseI系のプライマー(蛍光標識なしのプライマー)の添加量も、結果に影響しない。
- 蛍光標識をしているEcoRI系のプライマーの量は、関係あり。多すぎるとプライマーダイマーが生じ、低分子のピークを阻害する。少なすぎると検出されないピークが出てくる。
- PCRの時間は、あまり関係ない。
*1:この論文にはこの理由が書いてないので、さかのぼらないと分からない。