「D. galeata生活史感度と個体群レベルのp-ノニルフェノールの影響」
Tanaka Y. and Nakanishi J., 2001, Life history elasticity and the population‐level effect of p‐nonylphenol on Daphnia galeata, Ecol. Res., 16(1), 41-48.
カブトミジンコDaphnia galeata を用いた個体群レベルの毒性評価。
個体群レベルの毒性評価の研究の多く(特にミジンコなどのプランクトン)は、実験室で曝露試験をおこない、曝露によって生命表の各パラメータ(年齢別生存率など)がどれだけ変化したか、という結果から個体群増加率λへの影響を推定しています。
しかしそれはあくまで実験室個体群の生命表からの結果で、野外個体群における増加率を示していません。野外個体群では、実験室と違い捕食や疾病による影響が無視できません。この研究では、その野外と実験室の差異を埋める手段として、捕食効果をシミュレーションしています。
感度解析の結果は個人的に興味深い。慢性試験のエンドポイントの正当化。
「フロリダクロクマ個体群への人為影響」
Hostetler J.A., McCown J.W., Garrison E.P., Neils A.M., Barrett M.A., Sunquist M.E., Simekc S.L.,and Oli M.K., 2009, Demographic consequences of anthropogenic influences: Florida black bears in north-central Florida, Biol. Conservation, 142(11), 2456-2463.
"Lower-level elasticity"の適用事例としてざっと見。
Elasticityは生活史変量そのもの(年齢別の生存率・産仔数など)に対するλの感度なのに対し、"Lower-level elasticity"は生活史変量を構成するパラメータに対するλの感度を表します。詳しくはCaswellの教科書「Matrix Population Models」参照。
"Lower-level elasticity"を使ってパラメータ間のλに対する寄与の比較はできても、その値を生活史変量に対するelasticityと比較はできない。
坂田泰造, 垂野信行, 1987, クルマエビ消化管内細菌に関する生態学的研究 I 消化管内細菌相の変動, 水産増殖, 35(3), 147-151.
ちょっとした思い付きから、甲殻類の消化管内細菌叢(microflora in the digestive tract)に関する文献を読んでみました。Vibrio属・Pseudomonas属・Flavobacterium属が優勢。