今、何かと話題の三島由紀夫。
東大法学部の郁雄君と、古本屋の娘の百子さんの1年ほどの婚約期間のお話。金閣寺とかに比べたら気軽な作品です。
三島由紀夫の小説は作りこまれた感じがあって、あんまり好きじゃないんですが。いかにも「小説感」が強すぎるというか…。と言いつつも結構楽しめました。若い人の観念的なところとか、直情的な部分がよく書けてるなと思いました(しみじみ)。
郁雄の身勝手さ、正直笑った。
『この娘はどうあっても、結婚まで大事にしておかなければならない。指一本触れてはならない。僕のやるべきことは、早くつた子の体を知った上で、一日も早く、百子のために、つた子を捨てることだ。よし!そう決めたぞ』
こんな考え方には、肉体と精神の分裂した青年の観念的な考え方がいかにも露骨に出ていた。