「Ecotoxicogenomicsにおけるマイクロアレイ実験の再現性:lab間比較」
Vidal-Dorsch D.E., Bay S.M., Moore S., Layton B., Mehinto A.C., Vulpe C.D., Brown-Augustine M., Loguinov A., Poynton H., Garcia-Reyero N., Perkins E.J., Escalon L., Denslow N.D., Cristina C.D.R., Doan T., Shukradas S., Bruno J., Brown L., Agglen G.V., Jackman P., Bauer M., 2016, Ecotoxicogenomics: Microarray interlaboratory comparability, Chemosphere, 144, 193-200.
2年位前に読んでおきたかった内容。でも自分がヨコエビのRNA抽出でやってきたことが、間違ってはなさそうで良かったです。
例えば自分はフェノールクロロホルム抽出を使用してますが、彼らも推奨してます。
For example, in the present study a commercially available RNA extraction kit was used. However, other methods such as phenol–chloroform procedures may be more suitable to extract RNA from amphipods, since these methods may isolate RNA from organisms with an exoskeleton more efficiently.
他にも28S rRNAのバンドについての記述とか。ヨコエビの28S rRNAが切れてしまって電気泳動で中々確認できないのは、「hidden break(Ishikawa, 1977)」が原因だと思います。この論文では細かく言及されてないけど。
再現性のキーになるポイントが何かという疑問に対して、明確な結論はなく「RNAの質」と「expertise」だろうとのこと。
(2015.10.31追記)
気になることがあったので、 著者のDorisさんにメールで聞いてみました。速攻で返信してくれました!
質問に対する答えはある意味予想通りでしたが(期待には反してましたが)、彼女のresearch gateのページにあるtechnical reportを紹介してもらいました(筆頭著者はSteve Bayさん)。内容は上記の論文とほぼ同じなのですが、最後にBioAnalyzerでのRNA泳動図があって、これがヨコエビの実験をおこなう人には(特にゲル泳動でintegrityを確認する人には)大きな助けになるのではないでしょうか。
「巻貝のcDNA-AFLPと抗酸化酵素活性」
Oberholster P.J., Hill L., Jappie S., Truter J.C. and Botha A.M., 2016, Applying genotoxicology tools to identify environmental stressors in support of river management, Chemosphere, 144, 319-329.
南アフリカの河川水に巻貝physa acutaを曝露させて、cDNA-AFLPとカタラーゼ・エステラーゼ・ペルオキシダーゼ活性を測定してます。生態毒性にcDNA-AFLPを使われてて見つけた時は「やられたー」と思いましたが、読んでみると自分のやろうとしていることとはちょっと方向性が違ってました。Discussionの詳細はフォローしてませんが。
cDNA-AFLPの結果をどう解析しているのか今一つ理解できない…。どうやって「サンプル間のプロファイルが異なる」という結論を出しているのか。断片数だけ? ちなみにAFLPでは、全997断片のうち800断片を切り出して、クローニングしたのは209断片。