「Daphniaの日齢が金属毒性に及ぼす影響」
Hoang T.C. and Klaine S.J., 2007, Influence of organism age on metal toxicity to Daphnia magna, Environ. Toxicol. Chem., 26 (6), 1198-1204.
一般に若い曝露生物の方が、年老いた生物よりも感受性は高いです。ただ生まれたばかりの個体とか卵に関しては、その傾向が当てはまらないかもしれない、ということでおこなわれた研究。用いるオオミジンコDaphnia magnaの日齢を変えて、12時間の金属(Cu, Zn, Se, Ag)曝露による致死率・成長阻害・繁殖阻害を調べてます。
金属曝露に対する感受性は日齢と直線関係ではなかったという結果。感受性は産まれた直後に低く、歳をとると高くなるが、ある時点を過ぎるとまた低くなっています。産まれた直後は、体内の栄養を使い外部とのやり取りが少ないから感受性が低いのではないか、と考察されてます。
地味に面白いのは、Cu・Znの曝露とSe・Asの曝露とで、感受性の最も高くなる日齢が異なっているという点。Cu・Znの曝露では生後100 h、Se・As曝露では生後50hあたりで感受性最大です。Cu・Znの毒性は主にNa・Ca摂取阻害であり、生後4dの子どもを作る時点でNaやCaが必要になるので、効果的になるそうです。一方、Seの毒性は活性酸素、Asはenergy inhibitionだそうで、それらの影響は2dの脱皮時に最大となると考えられるのだとか。このへんの考察が勉強になる論文でした。