備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

SETAC North America 34-th Annual Meeting をチラ見した

11月13~17日にピッツバーグで開催されました。私は全く参加していませんが、要旨集がネットで見られるので主に6PPD-キノン(6PPD-Q)に関する発表でどんなのがあったのかをざっと確認してみました。

 

6PPD-Qに関する発表は全18件あり、そのうち8件が生態毒性、7件がモニタリングや分析法、1件が加水分解性や大気中の分解性(2.07.P-We008 by Smithers ERS)、1件が代替物に関する議論(4.13.V-03 by Washington State Department ofEcology)、1件が6PPDのオゾン反応に関する化学計算シミュレーション?(8.13.V-03)に関するものでした。8.13.V-03はChemRxivに同じ著者による原稿がアップされています。

生態毒性に関する発表で面白そうだったのは以下。

  • Huntsman Marine Science Centerによるタイセイヨウサケへの24-h LC50が19.7 µg/Lと報告したもの(2.07.P-We012)。もっともこれは環境中での濃度よりかなり高く、さらに6PPD-Qに高感受性の種に現れる影響であるヘマトクリットや血糖値の増加などは見られなかったそうです。生活史ごとの感受性の違いも見たそうです。
  • なんといってもUniv of Saskatchewanの2つの発表。1つは、6PPD-Qに曝露したニジマス(高感受性種)とホッキョクイワナ(耐性種)の酸素消費速度に影響はなかったものの、両種でpassive ventricular fillingが増加し、ニジマスでのみend systolic volumeとatrial and ventricular contractile rateの減少が見られたという報告(2.15.P-Th166)。sympathetic stimulationの証拠と書いています。観察された症状はメトヘモグロビンの増加によって引き起こされている可能性があるとも述べています。
  • Univ of Saskatchewanのもう1つの発表(4.18.P-Mo145)。Liver perfusion assayでニジマスによる6PPD-Qの代謝能を調査。トランスポート阻害剤であるシクロスポリンAも投与したが、代謝能に変化はなかったそうです。またin vivoで、胆のう中に水酸化物とグルクロン酸抱合体を確認したとのこと。
  • USEPAがファットヘッドミノーのRNA-Seqをしたとのこと(2.15.P-Th167)。どの組織かは不明。DEGからMoAは特に分からなかったそうです。というかそもそもファットヘッドミノーには致死影響が出ていない…。

 

代替物の議論の発表者をググったら、US Tire Manufacturers Association(USTMA)のこんな文書を発見。6PPDの代替物は、酸素やオゾンからタイヤを保護出来て、かつタイヤゴム中にうまく分散(adequate solubility and diffusivity)して、タイヤ製造に悪影響を及ぼさないことなどの基準を満たさないといけないと述べています。6PPDと同じPPD類のCPPDやIPPDも候補に挙げられていますが、CPPDは1~2年間しかタイヤを保護できないため、IPPDは皮膚感作性があるために適当ではないとのことです。

 

 

6PPD-Q以外では、Hyalella aztecaの6~7週齢の個体を用いて42日間の繁殖試験を行った発表(1.08V-01 by Univ of Guelph & Env Climate Change Canada)を聞いてみたかったです。他の話題はそれほど検索できてません。