備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

「すごい進化」感想

 面白いし、読みやすい。オススメです。

 

一見すると不合理な進化、例えば不完全な擬態など、はどうして生じるのか。

なんらかの制約によって進化が中途半端になってしまったのか、それとも実は自然淘汰を経て十分に適応した結果(=環境に適した形質が残った状態)なのか。

本書は、後者の考え方をベースに様々な進化の例を紹介してます。左巻きのカタツムリ(p.11)や、捕まえにくく栄養価も高くない餌に固執するクリサキテントウ(第3章)、不完全な擬態(p. 204)の話など。

特に、筆者自身の研究成果であるクリサキテントウの話が面白く、かつ「進化は制約か適応どちらで説明できるか」という大きな問いの流れの中で具体的な事例を詳細に詰めていっているのが研究者として素敵です。なぜ良くない餌をわざわざ食べているのかという疑問から、他種のメスに求愛するエラーを防ぐためという仮説を導いて、さらにオス殺しバクテリアの感染の話までつながる流れはワクワクしました。