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やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文「HOCの拡散速度とDOC」・音楽「恋におちたら」

Mayer P. et al., 2007, Enhanced diffusion of polycyclic aromatic hydrocarbons in artificial and natural aqueous solutions, Environ. Sci. Technol., 47, 6148-6155.

昨日に引き続き、HOC(Hydrophobic organic chemicals;疎水性有機物質)に関する論文。フミンや界面活性剤、馬糞など色々なDOCが、PAHの拡散移動(diffusive transfer)に与える影響を調べています。

手法の詳細は把握しきれてませんが、この論文の特徴は非撹拌境界層(unstirred boundary layer; UBL)に着目している点です。*1マイクロスケールの装置を作成して、PAHの拡散速度を測定してます。底質粒子や水生生物へのHOCの移行は、UBLが律速になっていて、決して平衡分配だけで説明できないというのです(つまり濃度が定常状態にない)。

結果はDOC存在下でPAHの拡散速度が増すというものでした。これはまあそうだろうって感じですが、考察が興味深かったです。自分が昨日書いた有機物質のbioavailabilityについて知りたかったようなことが書かれていました。以下、簡単に和訳・まとめ。

 

考察部分の和訳

「HOCのbioavailabilityにはaccessibilityとchemical activityという二つの側面がある」というのが従来の考えである*2。例えば魚へのHOCの取り込みは、DOC存在下で減少すると報告されている。これは、DOC存在下でHOCのフリー態が、すなわちchemical activityが減少するためだと説明できる。

この論文によって、accessibilityとchemical activityだけでなく、diffusive conductivityも考慮すべきということが示唆された。DOCが存在することで、拡散速度が増加し、上記の魚の例とは反対に、底生生物などへのHOC移行は増大するかもしれない。もっとも、底生生物と周囲環境におけるHOC濃度が定常状態であれば、拡散速度は底生生物中の濃度に影響しない。拡散速度が影響するのは、代謝によって体内HOCが分解されていくような非定常状態である。 

 

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 サニーデイサービスの「恋におちたら


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低音が気持ち良い。ずっと聞ける。

 

*1:この論文は2005年の同一グループの論文の拡張版のようなので、その前報を見るべきかも?

*2:この従来の考えも同一著者らによるもの。2006年のETC論文。