スイスに本社を置く中国系の学術誌出版社MDPI。
MDPIの雑誌は、BiologyとかChemistryとかMetabolitesとか一単語のジャーナル名が多く、全部オープンアクセス。頻繁に勧誘メールを送り付けてくることで有名。
2019年9月からは東京にオフィスを構えたとか。
自分はMDPIに投稿したことはないのですが、数回査読依頼が来ました。初めの2回は、自分の専門と全然離れていた内容だったこともあり断っていましたが、3回目は専門に近かったので査読を受けることに。それから月1くらいで依頼が来て、計4回はなんとなく引き受けてましたが、もう受けないかも。
なんといっても論文の質が低過ぎます。
新規性はないわ、論文というよりただの報告だわ、論文の目的は書いてないわ、結果張り付けて終わりの解釈なしだわ、考察はただの一般論だわ、Excelのデフォルトの図を張り付けてるわ、英語は読みにくいわ(これはお互い様かも)。
そしてrejectにしたら、毎回major revisionで帰ってきて、再度コメントをする羽目に。なんでやねん。
他のreviewerのコメントは適当なの多過ぎ。2行くらいのコメントでminor revision、指摘しているのはタイポのみ、みたいな。rejectにしているreviewerの方が懇切丁寧に指摘している気がします。
「自分が査読しなければ、この低レベルな論文がそのまま出版されてしまう」という問題意識から査読してましたが、面白い論文を読めるという査読の醍醐味がなさ過ぎて、引き受ける意欲が激減。
とか書いておいて、MDPIは査読を担当したら投稿料の割引がもらえるので、いつかは自分の関連分野の雑誌(Water、Toxics、IJMSあたり?IJMSはMDPIの中では比較的印象良いかも。)に投稿しても良いかも。その時はしっかりとした質の原稿を準備します。
(追記 2020.09:やっぱMDPIへの投稿はないか。MDPIに投げるくらいなら日本の雑誌でOpen Accessの所に投稿します。)
論文は玉石混合でもどんどんオープンにして、出版されてから評価していこうという流れにMDPIも乗っているのでしょう(かただの金もうけかは知りませんが)。その流れは基本賛成です。
ちなみにMDPIの投稿料(APC)は大体1000~1800 CHFで、一回の査読でもらえた割引が50 CHFだったので(100 CHFの時もあった)、割引だけで投稿するには20回以上査読しないとですね。
(さらに追記。2023.11.27)
もうMDPIの査読は引き受けないかも、と書いておきながら未だに、たまに引き受けています。年に1~2回、自分の専門にぴったり合っている場合のみですが。
上に書いたときよりも、少しだけ論文のクオリティがましになっているような気がします…。自分の査読本数がそもそも多くないため、ただの偶然かもしれませんが・・。