オンラインと現地のハイブリッド開催。
自分はオンラインのみで参加。ハイブリッドと言いつつ、ほぼ現地開催メインのようでした。Q&Aにほぼ書き込みを見なかったくらい、オンラインは全然盛り上がっていませんでした…。前回参加した完全オンラインのNorth Americaではもう少し書き込みがあった気がします。
Twitterで様子を見ると、1つの大きな会場に1人くらいマスクを着けている人が居たり居なかったり。飲み会もコロナ禍前のように行われてるようでした。
オンラインでは発表を聞く気がそもそも起きないのですが、いくつかの発表について感想とメモ。時差があるため基調講演などは聞いていないし、好きなものを拾っているだけなので、会場全体の流行り感・盛り上がり感とか人気のあったセッションなどは全然掴めていないと思います。
- マイクロプラスチック関係は、環境中から検出されましたみたいな話からeffect寄りの話が少し増えてきた印象。これは個人的に好ましいです。「こういう条件ではマイクロプラスチックをよく摂取しがち」みたいなマニアックな研究も多くなってきている気がします。
- マイクロプラのおかげで、タイヤ関連の発表が多かったです。
- PFASは聞いてません。流行しているけど個人的にあまり興味のないテーマは、やはり現地に居さえすれば何となくの感触はつかめるのに…。つくづくオンライン参加が惜しいです。
- Persistent, Mobile, and Toxic (PMT) substancesの発表が多かった。Hans Peter Arpさんなど。水処理でも除けず飲料水から検出される、というところから話が始まっているらしく、生態毒性的にToxicなのかどうかはよく分からないと思って眺めてます。メラミンとか、1,4-ジオキサン、ベンゾチアゾール、1,3-ジフェニルグアニジンなど。
- DEB(Dynamic Energy Budget)モデル関係の発表を聞く。例えば4.05.P-We181など。農薬の非定常曝露による影響を予測するためにTKTDモデルを活用する文脈。EFSAのOpinion("Scientific Opinion on the state of the art of Toxicokinetic/Toxicodynamic (TKTD) effect models for regulatory risk assessment of pesticides for aquatic organisms")などが引用されています。TKTDモデルは個人的にはメカニズムを探求する目的で興味があり、この応用にはそれほど惹かれませんが、sub-lethalな影響を予測するモデル研究がいっぱい報告されているのは嬉しい。
- 上と関連してGUTS(General Unified Threshold models of Survival)の発表。開発者以外のチームからも発表が多く、実用段階に入りかけている(?)ことがうかがえました。パルス的な曝露に使ってみたよ、というケーススタディが多かった印象です。
- Fraunhofer IMEの人などによる固体ポリマーの毒性評価(4.06.P-We201, 4.06.V-04)。藻類とミジンコには急性毒性が出なかったとのこと。一方、P&GとAarhus大学などからはポリクオタニウム(Polyquaternium)のゼブラフィッシュ胚とミジンコ、藻類に対する毒性について(4.06.V-05, 4.06.V-03)。いずれの発表でも電荷密度が高いほど毒性は強くなる結果で、分子量との相関はないとのことでした。電荷密度との関係はBoethling and Nabholz (1997, EPA)ですでに言われているそうです。
- さらにP&Gらの発表でカチオンポリマーのQSAR(4.06.T-02)。
- 1.03.P-We324。種の感受性分布(SSD)を求める際に、例えば殺虫剤や除草剤のように特異的に効く生物分類群がある場合は、分類群ごとにSSDを求める、という話。HC50の95%信頼区間が重なるかどうかで、SSDを分割するか判断しているっぽい。RIVMのPosthumaも共著。
- 3.05.P-Tu108。アーヘン工科大学が、表面積を大きくするため(?)に3Dプリンターでポリ乳酸(PLA)の剣山みたいなのを作ってpassive dosing/samplingしてました。
- 底質はそれほど目を引く発表はなかったかも。passive samplingで底泥の再懸濁による影響を調べたものなどは良かったです。
8月までウェブサイトは見られるらしいので、後で追記するかもしれません。