備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

SETAC NA 42nd Annual Meeting

オンライン開催。

自分は共著の発表一つだけしかしていませんが、いくつか発表を聞いてました。オンライン開催だと、新しいヒト・発表への出会いが中々うまくいかない反面、いつでも発表が聞けるのは嬉しい。なお、リアルタイムの催しは一つも参加できませんでした。。

 

 

6PPD-quinone関係の発表が10個もありました。Q&Aも盛り上がっている気がしました。なんとなく。

  • 02.09.10: ギンザケに路面排水を曝露させて、トレーサー物質の脳への移行を調べたもの。Blair et al. (2021, Canadian J. Fish Aquat. Sci.) の続き。魚のsurfacingの前から既にトレーサーは脳に移行しつつあり、血液脳関門(BBB)は破壊されている様子。鰓についても同様にleakingあり。しかし3時間以内に反応が出るというのは速い。どういうメカニズムなのか。
  • 04.03.01: 6PPDとタイヤ破砕物をオゾン酸化させて、6PPD-Qの生成率を観察。モル割合で、6PPDのせいぜい10%以下しか6PPD-Qにならない。タイヤ破砕物の場合、わずか1%。
  • 04.12.09: Science論文の筆頭著者によるプレゼン。合成した6PPD-Qは、市販品に比べて15倍もピークが低く、これまでの定量結果は過大評価だったとのこと。更新されたギンザケのLC50は95 ng/L。低い!
  • 04.12.20: 河川底泥から6PPD-Qはほとんどの場合検出下限以下(< 0.25 ng/g)だったとのこと。雨が降った後でも、雨が200日(!)降っていない場合でも同じ。

 

その他の発表。

  • 01.14.11: Hyalella aztecaの胚発生試験の開発。ヨコエビの胚発生モデルと言えばP. hawaiensisがありますが。これはやってみたい! まずオス・メスそれぞれ分けてから2週間置いて、その後ペアを作成し、解剖して取り出す。
  • 02.01.10: H. aztecaの慢性繁殖試験について。オーストラリアのMelita pulumulosaの試験に触発されて、性成熟した個体を用いてオスの割合を減らせば、産仔数のばらつきを減らせるんじゃないかという提案。個人的には実用化するとはあまり思えませんでしたが。
  • 03.04.04: 低濃度のネオニコは蝶の蛹化を阻害する。Crustacean cardioactive peptide (CCAP) の阻害がメカニズム?
  • 01.05.02: Altenburger氏らのzebrafish transcriptomics。前からself-organizing mapを用いた解析をしてましたが、今回はmixture effectsに応用。作用機序の異なる物質間の、遺伝子レベルの応答でもconcentration addition (CA) モデルで予測できるというのは面白い。しかし細かいところは正直フォローできてません。この手の研究では一歩抜きんでている印象。

あまり真新しく感じたのはなかったけど、その他AOPとか、底質汚染関係とか、無脊椎動物関係などをよく聞きました。依然として発表が多かったマイクロプラとPFASは正直あまり聞いてません。