a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

本「工学部ヒラノ教授」

論文必勝法」に続けて、ヒラノ教授シリーズを読みました。

 エピソードの30~50%くらいは「論文必勝法」と重複している印象ですが、面白かったです。なにより、内容がない訳ではないのに読みやすいです。

今野浩, 2010*1, 工学部ヒラノ教授, 新潮社

 

アメリカの大学院教育は、日本に比べて講義に重点が置かれているという話が特に興味深かったです(12章, p.154~)。あんまり、本筋ではないですが・・・。この内容は、「論文必勝法」には書かれていなかったと思います。

日本の大学院では、スクーリング(講義+宿題)を全く受けなくても博士号を取得できます。自分の所属している専攻でもそうですね。講義は0単位で修了できます。

しかし、アメリカの博士課程は15科目の通常科目+10科目ほどの上級科目?を履修し、2日間にわたる5時間ずつの筆記試験を受け、博士2年目にあるその試験をパスしなければ退学勧告を受けるそうです。その試験にパスするための勉強時間は、ざっと5000時間だろうと筆者は見積もっています。

~その導出過程~

1科目は週3回の50分授業と9時間分の宿題10週間分からなります。教員は、平均的な学生が9時間かかる問題を毎週宿題として出すそうです。なので、1科目あたり「(3×5/6+9)×10 = 115 時間」かかります。優秀な成績を取るためには、そこに+5時間として、約120時間。修士課程は15科目を履修するので、「120×15科 = 1800 時間」。博士課程は修士の2倍以上として、5000時間というざっくり計算。

ちなみに自分の学習・研究時間を、1年の平日を245日として過去1年間の平日の「座学」時間平均からざっと計算してみました。年1216時間でした。う~む。2年間で5000時間は、自分の研究をやりながらだと無理ですね。勉強に専念しないとできない。

 

ではアメリカの院生はそれほど何を勉強しているのかと言うと、狭い専門に限らない基礎知識を学んでいるのです。確かに海外の教科書は、非常に平易な言葉で分かりやすく書かれていて、かなり基礎から段階的に説明されています。その代わり、とても分厚いです。 

講義を通して基礎知識を教えるのは、学生の独習に任せる日本のやり方と大きく異なっています。日本では学生が狭い専門に閉じ込められてしまっているので、企業に受け入れられない「専門バカ」*2の博士が多く誕生したのではないか、と筆者は述べています。

 

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)

 

 

*1:文庫版は2013

*2:とまでは、筆者は書いていませんが。