気晴らしで読んだ論文。
「メタゲノムアーカイブとしての貝殻」
Coutellec MA. 2017. Mollusc shells as metagenomic archives: The true treasure is the chest itself. Mol Ecol Resources 17(5): 854-857.
Der Sarkissianら (2017) の解説記事。貝殻のDNAを抽出して、その貝のDNAだけでなく、関連する細菌叢などのメタゲノムを分析できたという研究。病原性微生物の存在など、7000年前の情報まで辿れたという話です。貝殻がどうやって作られてるのかは全然知りませんが、藻類のDNAも検出されてるみたいで面白いです。食物などで取り込まれたDNAは案外体内に遍在してるんですね。最近「破壊する創造者」を読んでて、このへんの話に興味あり。
貝殻の微生物メタゲノムは、海水の細菌叢より土壌細菌叢の方に近かったそうです。その原因はデータベースの情報不足かもしれないと考察されていてます。こういう系の論文には常について回る課題ですね。
「ポリスチレンがゴカイの細菌群集に影響する」
Kesy K, Oberbeckmann S, Müller F, Labrenz M. 2016. Polystyrene influences bacterial assemblages in Arenicola marina-populated aquatic environments in vitro. Environ Pollut 219:219-227.
マイクロプラスチックによる生物への影響には、プラスチック自身の物理的な影響とプラスチックに吸着している有害物質による影響があるようです。マイクロプラスチックの影響はそれだけじゃなくて、(糞や周囲の底質中の)細菌群集への影響もあるのではないか、という疑問を調べた論文です。面白そうかなと思ったけど、あんまりパッとしなかった。ゴカイ自身への影響や腸内細菌は調べていない。