備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: 分配係数と固液比

固相-液相間でのある汚染物質の分配を考えたいとします。固相Sは例えば底質とかで、液相Lはそれに接している水とかです。平衡状態にあるならば、一般に次の式が成り立ちます。

K_d = \frac{C_S}{C_L}

C_Sは固相に吸着した物質の濃度、C_Lは液相中の濃度です。平衡状態なら、この比率、すなわちK_dは実験条件によらず一定と考えられます。

 

しかし実験してると、K_dが条件によって変わっていることに気づきました。

固相の割合が多くなるとK_dが小さくなる、つまりC_Sが減り、C_Lが増える傾向にありました。

 

でも実はすごい単純な話かも。

固相が増えると、それに応じてDOCとかコロイドが増えて、汚染物質がそれらに取り込まれるので、見かけのK_dが小さくなるわけです。 式にすると下のようなもの。

K_d = \frac{C_S}{C_L'} =\frac{C_S}{C_L+C_{DOC}+C_{Colloid} }

 

Solid concentration effectと名づけられてもいます。例えば以下の総説。

Di Toro DM et al., 1991, Technical basis for establishing sediment quality criteria for nonionic organic chemicals using equilibrium partitioning, Environ Toxicol Chem 10: 1541-1583.
Limousin G, Gaudet JP, Charlet L, Szenknect S, Barthès V, Krimissa M, 2007, Sorption isotherms: A review on physical bases, modeling and measurement, Appl Geochem 22, 249–275.

 Di Toro(1991)は、コロイドの影響では説明できない場合もあるとか書いてますが…。