いつも地味に気になっているがすぐ忘れてしまうCYP代謝のメモ。
Ikenaka Y, Eun H, Ishizaka M, Miyabara Y, 2006, Metabolism of pyrene by aquatic crustacean, Daphnia magna, Aquatic Toxicol 80(2): 158-165.
ミジンコにおける、PAHの1種ピレンの代謝産物を同定しています。Phase IでCYPによる酸化、Phase IIでsulfotransferaseなどによる硫酸抱合が生じていることを示唆。陸域の無脊椎では硫酸抱合はあまりなされておらず、ミジンコで硫酸抱合が生じているのは硫酸イオンが豊富な水域で進化した結果だろうという考察が面白い。CYP阻害剤としてSKF-525Aを使用。
Akkanen J, Kukkonen JV, 2003, Biotransformation and bioconcentration of pyrene in Daphnia magna, Aquatic Toxicol 64(1): 53-61.
上の論文で引用されていたもの。同じくミジンコ。14C標識してピレンそのものと代謝物含めたものの取り込みを調べた論文。こちらはPBO(piperonyl butoxide)でCYP阻害をしています。
Lee JH, Landrum PF, 2006, Application of multi-component damage assessment model (MDAM) for the toxicity of metabolized PAH in Hyalella azteca, Environ Sci Technol 40(4): 1350-1357.
ヨコエビH. aztecaにピレンとフルオレンを曝露させて、さらにPBOの有無による体内取り込みの違いを調べた論文。
PBOを共曝露することで代謝物に影響は生じていますが、親物質の濃度はピレン・フルオレンともに変化なし。この点、完全に勘違いしていてハッとさせられました。代謝の方が律速になっているからPBOの有無によって親物質濃度は変わらないんですね。