備忘録 a record of inner life

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論文のメモ: 土壌汚染の生態リスク評価 ~平衡分配や有機物含量による標準化など~

土壌汚染の生態リスク評価について。

底質のリスク評価では、間隙水と底質と生物の3相で化学物質の平衡状態を仮定する平衡分配理論(Equilibrium Partitioning Theory; EqP)を割と良い感じで使えて、非イオン性の有機物については、間隙水のフリー溶存態で毒性影響や生物蓄積がざっくりと説明できそう、という現状です(細かいことを言い出すと色々違うとなりそうですが、ざっくりと言うと)。

同じような考え方が、土壌の生態リスク評価に適用できるのか。つまり間隙水のフリー濃度を指標にしておおむね説明できてしまうのか、単純に気になって、いくつか文献を見てみました。

  

Redman AD, Parkerton TF, Paumen ML, McGrath JA, den Haan K, Di Toro DM, 2014, Extension and validation of the target lipid model for deriving predicted no‐effect concentrations for soils and sediments, Environ Toxicol Chem 33(12): 2679-2687.

この論文については、以前もブログに書きました。土壌も底質もEqPを適用できる対象として特に区別なく扱われています。  

 

van Beelen P, Verbruggen EM, Peijnenburg WJ, 2003, The evaluation of the equilibrium partitioning method using sensitivity distributions of species in water and soil, Chemosphere 52(7): 1153-1162.

水生生物を用いた毒性試験データ(ug/L)にEqPを適用して土壌の毒性値に換算したものと、土壌を用いた毒性試験のデータ(ug/g)とを比較した論文。比較は、種の感受性分布(SSD)をかいた時のHC5(Hazardous Concentration 5%)などで行なっています。HC5が100倍以上異なる物質もあるという結果。この差は分配係数の不確実性によるところもあれば、SSDの生物種の構成によるところもあるそうです。

あまり丁寧に読んでませんが、金属も含めている点や有機物含有量の標準化の方法など、良く分からないもあり。

 

Frampton GK, Jänsch S, Scott‐Fordsmand JJ, Römbke J, Van den Brink PJ, 2006, Effects of pesticides on soil invertebrates in laboratory studies: a review and analysis using species sensitivity distributions, Environ Toxicol Chem 25(9): 2480-2489.

土壌の毒性試験データで種の感受性分布(SSD)を推定したという論文。パラチオン、クロルピリホス、λ-シハロトリンなど11物質を対象。

試験標準種であるミミズだけでリスク評価するのは危険だよ、というのが論文の主眼ですが、土壌中濃度を有機物含量で補正していない点が少し気になりました(全てbulkの濃度で評価している)。平行分配法理論に従うなら、有機物含量で補正したいところ。

 

 

Gainer A, Bresee K, Hogan N, Siciliano SD, 2019, Advancing soil ecological risk assessments for petroleum hydrocarbon contaminated soils in Canada: Persistence, organic carbon normalization and relevance of species assemblages, Sci Total Environ 668: 400-410.

あまりちゃんと読んでませんが、土壌でも底質と同じように有機物含量で補正すると毒性値のばらつきが小さくなることが述べられています。