備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: ToxCastデータとタンパク質配列を水生生物保全の基準値導出に活用する

Schaupp CM, LaLone CA, Blackwell BR, Ankley GT, Villeneuve DL, 2022, Leveraging ToxCast data and protein sequence conservation to complement aquatic life criteria derivation, Integr Environ Assess Manag, accepted.

USEPAからの論文。SeqAPASSのLaLoneら。

ToxCastのハイスループットなin vitroデータを使って、水生生物保全の水質基準に資するような考察ができるか検討した論文です。やってることは主に(i)水生生物への基準値とToxCastの毒性値の比較と(ii)ToxCastから水生生物に対する毒性の作用機序(Mode of Action; MoA)を推定できるかどうか、の2つです。後半のMoAに関して、SeqAPASSを使ったりしています。

MoAの検討ではcelecoxib、TCDDというMoAがハッキリしていそうな物質の他に、ペンタクロロフェノール、PFOA、PFOSも取り上げています。ペンタクロロフェノールは、いろいろな異なるパスウェイに同じような濃度で反応しているからbaseline toxicityだと示される、と述べています。この議論参考になります。またペンタクロロフェノールのようなbaseline toxicityの物質についてToxCastから水生生物への基準を策定するのはおかしな話で、narcosisのQSARを使えば良いとあります(意訳)。

事例研究という感じで記述的に長々と書いている論文ですが、非常に勉強になりました。