備忘録 a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: 最近読んだヨコエビ系の話(共食い・光走性)

ヨコエビが出てくる論文。生態毒性と関連するのもあったり、なかったり。

 

   

抗うつ剤ヨコエビを光の方へ向ける

Guler Y, Ford AT, 2010, Anti-depressants make amphipods see the light, Aquatic Toxicol 99:397-404.

選択的セロトニン再取り込み阻害作用を持つ抗うつ剤フルオキセチンを海産ヨコエビEchinogammarus marinusに曝露させ、その行動変化を見た論文。曝露によって光走性と重力走性を示すようになったそうです。ただ濃度と走性の関係は単調増加ではない。

他にも寄生虫による寄生、セロトニン曝露などによる影響も調べています。寄生虫が体内のセロトニンレベルを調節して行動を変化させるという知見をもとに、この研究も始まっているっぽい。あとジクロフェナックとカルバマゼピンも調べられてますが、明確な影響は見られなかった様子。

この行動変化が、どれくらい生態学的に重要なのかは結構難しそう。意外とヨコエビでも、行動の変化がエンドポイントに使われてるのを知りました(例えばこれ)。

  

ヨコエビの光走性と共食い

Hunte W, Myers RA, 1984, Phototaxis and cannibalism in gammaridean amphipods, Mar Biol 81: 75-79.

Gammarus属の3種ヨコエビは、加齢とともに負の光走性を示し始めたという論文。共食いの餌食にならないよう、幼体は成体と棲み分けているのではないか、とのお話し。

 

ヨコエビの血縁認知

Patterson L, Dick JT, Elwood RW, 2008, Embryo retrieval and kin recognition in an amphipod (Crustacea), Animal Behaviour 76:717-722.

あまりちゃんと読んでませんが、ヨコエビの育児嚢brood pouchから卵を奪った後でそっと戻し、それを共食いするか観察するという鬼畜な実験。親が産んだものではない卵を戻した時に共食い率はどうなるか、がメインの目的です。カッコウの托卵みたいな実験。ちなみにこの論文のretrieveって何かと思ったら、このヨコエビApherusa jurineiは卵を育児嚢から出し入れできて、育児嚢に戻すことをretrieveと呼ぶみたいです。ヨコエビは一般に卵を育児嚢で孵化させるという"passive"なケアをしますが、この種は卵をcurlしたりstrechしたり"active"なケアをするとか(どんな感じかあまりイメージできていない)

自分の卵以外はあまりretrieveせず、さらに共食いしてしまうという結果。でも自分の卵でも結構共食いしている…。

 

「陸生ヨコエビの共食いと食物量

Duarte C, Jaramillo E, Contreras H, Acuña K, 2010, Cannibalism and food availability in the talitrid amphipod Orchestoidea tuberculata, J Sea Res 64: 417-421.

ハマトビムシの共食いについて。亜成体は成体に食べられてしまうという実験結果です。ただ餌があると、その共食いの効果は減少するそうです。亜成体しかいない系だと餌ある条件の方が致死率高いのが面白い。餌の量が十分だったのかは気になります。

上のHunte and Myers, 1984と似たような、成長段階での棲み分けについてもイントロで語られてます。

 

Gammarus pulexは子ども食いを避ける

Lewis SE, Dick JT, Lagerstrom EK, Clarke HC, 2010, Avoidance of filial cannibalism in the amphipod Gammarus pulex, Ethology 116: 138-146.

産仔したばかりのメスは、オスや産卵前のメス、抱卵しているメスに比べて共食い(亜成体食い)をあまりしないという報告。抱卵したばかりのメスは、オスよりむしろ共食いをしています。

論文のメモ: 底質の金属毒性

 

「底質中の金属毒性の予測

Simpson SL, Batley GE, 2007, Predicting metal toxicity in sediments: a critique of current approaches, Integr Environ Assess Manag 3:18-31.

総説。以下に簡単なまとめ。

  • 底質の金属毒性を考えるときは、生物種による違い(例:懸濁物食者か堆積物食者か)と、底質の性質による違い(堆積物に金属がどれだけ吸着するかを示すKd値の違いなど)の両方を考慮しないといけない。
  • 金属Mをスパイクして汚染底質を作るときの注意点。添加された金属が鉄と置き換わり(M+FeS→MS+Fe2+)、鉄を酸化・水酸化する(Fe2+→Fe3+ + e-, Fe3++3H2O→Fe(OH)3+ 3H+)ため、pHが著しく低下する。鉄の酸化を防ぐため、嫌気条件下でスパイクすることをお勧めしている。もっともその場合でも、MnO2などによってある程度は酸化される。また、硫化物イオンの量よりも添加金属量が多ければ、添加金属自体の水酸化によってもpHは低下する。pHが異なると有機物や酸化鉄への金属の吸着能も大きく変化するので、pHには注意。
  • Sediment BLM (2005, ETC) のデータ元は、大体スパイク試験。100 µg/L以上という高い間隙水濃度。pHをコントロールしてなかったり、平衡時間が短かったり、が原因。なので、Sediment BLMの仮定である「摂食による寄与は無視できる」は疑わしい。

 

「破壊する創造者」感想

生物ってなんでもありだな、というのが一番の感想。

進化は突然変異と自然選択だけではなく、共生発生や異種交配、エピジェネティクスによっても生じる。そしてウイルスは共生発生による進化の大きな推進力になっている。端折りまくった本書の概要は、おおよそこんな感じです。著者は医師ということで、医学への応用についても詳しく書かれています。

 

ヒトゲノムの中にウイルスに由来する配列があるということぐらいはなんとなく知ってましたが、それは真核細胞とシアノバクテリアの共生によってミトコンドリアが誕生したのと同様の共生の結果であり、これまでに幾度となく繰り返し生じているとは全然知りませんでした。しかも、内在化した(ゲノムに入り込んだ)ウイルスの中にはタンパク質を合成しているものや疾患・免疫に関与しているものもあるとか。もう訳分かりませんね。

 

かなり読み応えがありました。大げさですが、生物観を揺さぶられるような感じ。ただ半年ほど前に大方読んで放置していたので、今は熱が逃げてしまいました…。 

破壊する創造者――ウイルスがヒトを進化させた (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
 

 

論文のメモ: 外来鳥類の定着成功を決めるのは?

「成功した侵略種の生活史を解明する」

Sol D, Maspons J, Vall-Llosera M, Bartomeus I, García-Peña GE, Piñol J, Freckleton RP, 2012, Unraveling the life history of successful invaders, Science 337: 580-583.

ここ最近読んでいたinvasion successを決める因子についての面白くて読みやすい論文。環境汚染とは特に関係ありません。

鳥の侵入先での定着成功(0/1で表記)を、どのような形質が説明できるかGLMM等で調べたメタ解析論文です。全部で428種の2760導入事例について解析してます。これだけ膨大なデータがあるのが、やはり鳥とか昆虫の良いところですよね。こんなの甲殻類では絶対無理な気がします(知らんけど)。

個体群増加率がinvasion successを決定づけているかと思いきや、むしろ逆相関。個体群増加率の大きい種が定着成功しやすいしやすいのは、導入個体数が少ない(low propagule size) 時だけだったそうです。

結論としては、常にポンポン産む種よりシビアな環境では産卵を先延ばしにする種の方が一般的に定着成功しているとのことでした。

PLGS (phylogenetic generalizd least-squares) という手法があるのを知った。

論文のメモ: 外来種と化学物質汚染 その2

前回の続き。前回は、外来種の方が高い汚染耐性を持つという報告を中心に見ましたが、今回はその逆の話。

   

「在来種の二枚貝外来種より耐性が高いのか?

Faria M, López MA, Díez S, Barata C, 2010, Are native naiads more tolerant to pollution than exotic freshwater bivalve species? An hypothesis tested using physiological responses of three species transplanted to mercury contaminated sites in the Ebro River (NE, Spain), Chemosphere 81:1218-1226.

外来種であるタイワンシジミ、ゼブラマッスルと在来種のP. littoralisをin situで水銀曝露させた論文です。在来種の致死率が一番高かった。

    

「タホ湖で紫外線とフルオランテンに曝露した在来魚・外来魚の耐性の違い

Gevertz AK, Tucker AJ, Bowling AM, Williamson CE, Oris JT, 2012, Differential tolerance of native and nonnative fish exposed to ultraviolet radiation and fluoranthene in Lake Tahoe (California/Nevada), USA, Environ Toxicol Chem 31:1129-1135.

タホ湖でブルーギルとミノーを採取し、それぞれにフルオランテンへの曝露をおこなった論文。在来種であるミノーの方が耐性あり。

   

「在来・外来魚種の化学物質ストレスへの耐性:ライン川の事例

Fedorenkova A, Vonk JA, Breure AM, Hendriks AJ, Leuven RSEW, 2013, Tolerance of native and non-native fish species to chemical stress: a case study for the River Rhine, Aquatic Invasions 8:231-241.

ライン川の在来魚36種と外来魚24種の毒性試験データを用いて全21物質のSSD (Species Sensitivity Distribution) を作成した論文。わずか数種の感受性だけを比較して結論を出す論文が多い中、良い方向性。傾向としては外来種の方がHC50が大きいけれど、どの物質でも統計的な有意差はなかったとのことです。

 

 

「侵入種のリスク管理:機能形質は侵入の戦略と成功にどれほど関与するのか?

Weir SM, Salice CJ, 2011, Managing the risk of invasive species: How well do functional traits determine invasion strategy and success?, Integ Environ Assess Manag 7:299-300.

Learned Discourses。耐性だけじゃなくて、増殖速度も一緒に考えようという話。

 

論文のメモ: 外来種と化学物質汚染

外来種って応用的な問題であって、純粋科学の扱うトピックではないと勝手に思ってましたが、そんなことないかも。壮大な野外実験だと思えば、結構面白い。

 

 

「侵略種はランダムに選ばれているわけではない

Karatayev AY, Burlakova LE, Padilla DK, Mastitsky SE, Olenin S, 2009, Invaders are not a random selection of species, Biol Invasions 11:2009-2019.

北米とヨーロッパにおける淡水無脊椎動物について、在来種と外来種との特徴を比較した論文。外来種は軟体動物や甲殻類の割合が高いとか、懸濁物食者suspension-feederが多いとか。また、外来種は有機汚染に耐性のある種が多いという結果です。

では、汚染耐性はどうやって評価してるのでしょうか。Mandaville (2002) のAppendixによる分類を基にしているようです。Mandaville (2002) の分類は、さらにBarbour et al. (1999, EPA) やBode et al. (1996, NYS Department of Environ Conservation) などを元ネタにしています。しんどいので元ネタの詳細は未確認。どうも野外調査をして、生息状況と生息地点の汚染状況から判断しているっぽいですが…。

 

水質汚染外来種の侵略を増加させる

Crooks JA, Chang AL, Ruiz GM, 2011, Aquatic pollution increases the relative success of invasive species, Biol Invasions 13:165-176.

サンフランシスコ湾で付着生物の銅曝露実験をおこなった論文。護岸沿いにポリ塩化ビニルのプレートを沈めて、4~6週ごとに回収し、複数濃度の硫酸銅に72時間曝露させて海に戻す。その作業を計24週繰り返すという実験です。結果、外来種の方が銅による影響を受けにくく、高濃度でも種数・個体数の変化が生じにくかったらしいです。

考察では、バラストタンクでの輸送など外来種が移動する際にtolerantなものが選ばれた( = "weeding out" procces) のではないか、と述べられてます。自分が気になったのも、これに似ていますが、ここで調べられている外来種集団は既にある程度汚染されたサンフランシスコ湾に定着しているので、(清浄な地点にいた?)元の集団とは異なる形質・汚染耐性を獲得してるんじゃないか、ということ。

上のCrooks et al. (2011) でも気になる点は同じ。汚染耐性は定着後の集団を基にした評価です。

 

「汽水域の状況と侵略種の地理的分布との関係

Dafforn KA, Glasby TM, Johnston EL, 2009, Links between estuarine condition and spatial distributions of marine invaders, Diversity Distributions 15:807-821.

あとで読む。

 

 

野外から採ってきた在来種と外来種とのストレス耐性を調べたという論文はいっぱいあります。流し読みしただけですが、例えば以下。

 

バルト海における在来ヨコエビと非在来ヨコエビにおけるストレス耐性と腹仔数の違い

Sareyka J, Kraufvelin P, Lenz M, Lindström M, Tollrian R, Wahl M, 2011, Differences in stress tolerance and brood size between a non-indigenous and an indigenous gammarid in the northern Baltic Sea, Marine Biol, 158:2001-2008.

生息環境や食性、生活史が似ている在来種G. zaddachi外来種G. tigrinusの熱・貧酸素への耐性を比較した論文。両種は同一地点から採取してます。外来種の方が耐性があるという結果。

 

 「淡水巻貝の非生物ストレスへの高い耐性と侵入成功

Weir SM, Salice CJ, 2012, High tolerance to abiotic stressors and invasion success of the slow growing freshwater snail, Melanoides tuberculatus, Biol Invasions 14:385-394.

繁殖能では在来種B. glabrataに劣るM. tuberculatusの温度、化学物質(Cd・マラチオン)、乾燥に対する耐性を調べた論文。外来種は野外採取、在来種は研究所で継代飼育されているもの。外来種の方が耐性があるという結果。侵入成功している外来種の多くは、繁殖能が高いのでレアな例ではないかとのこと。

 

 「在来種・侵入種・寄生されたヨコエビへのアンモニア毒性

Prenter J, MacNeil C, Dick JT, Riddell GE, Dunn AM, 2004, Lethal and sublethal toxicity of ammonia to native, invasive, and parasitised freshwater amphipods, Water Res 38:2847-2850.

アイルランドでの在来1種と外来2種のアンモニア耐性比較論文。

 

 

外来種の遺伝的な解析については、これから勉強していきたい。

論文のメモ:ヨコエビ飼育のための人工海水の素

「汽水産端脚類を用いた慢性非致死底質バイオアッセイ

Emery VL, Moore DW, Gray BR, Duke BM, Gibson, AB, Wright RB, Farrar JD, 1997, Development of a chronic sublethal sediment bioassay using the estuarine amphipod Leptocheirus plumulosus (Shoemaker), Environ Toxicol Chem 16(9):1912-1920.

忘れそうなのでメモ。汽水産・海産ヨコエビの繁殖に適切な人工海水の素を調べてます。Instant Ocean(Aquarium Systems)やEPAでお薦めしているGP2培地より、Forty Fathoms (Marine Enterprise)が良いとのこと。Forty FathomsでググったらCrystal Sea® Marinemixというのが出てきたけど、同一商品かな?

 

 

(追記 2017.11.25)

EPAプロトコルにあるGP2培地は、オリジナルのGP2培地 (Spotte et al., 1984) を簡略化したものだったのか。オリジナルを見ると、ビオチンやビタミンB12も加えています。

 

(追記 2020.08.04)

日本での研究用途なら、Marine Art SF-1が良いかも。組成が公開されているので。

論文のメモ: メタゲノム情報の保存庫としての貝殻

気晴らしで読んだ論文。

 

「メタゲノムアーカイブとしての貝殻

Coutellec MA. 2017. Mollusc shells as metagenomic archives: The true treasure is the chest itself. Mol Ecol Resources 17(5): 854-857.

Der Sarkissianら (2017) の解説記事。貝殻のDNAを抽出して、その貝のDNAだけでなく、関連する細菌叢などのメタゲノムを分析できたという研究。病原性微生物の存在など、7000年前の情報まで辿れたという話です。貝殻がどうやって作られてるのかは全然知りませんが、藻類のDNAも検出されてるみたいで面白いです。食物などで取り込まれたDNAは案外体内に遍在してるんですね。最近「破壊する創造者」を読んでて、このへんの話に興味あり。

貝殻の微生物メタゲノムは、海水の細菌叢より土壌細菌叢の方に近かったそうです。その原因はデータベースの情報不足かもしれないと考察されていてます。こういう系の論文には常について回る課題ですね。

 

 

「ポリスチレンがゴカイの細菌群集に影響する

Kesy K, Oberbeckmann S, Müller F,  Labrenz M. 2016. Polystyrene influences bacterial assemblages in Arenicola marina-populated aquatic environments in vitro. Environ Pollut 219:219-227.

マイクロプラスチックによる生物への影響には、プラスチック自身の物理的な影響とプラスチックに吸着している有害物質による影響があるようです。マイクロプラスチックの影響はそれだけじゃなくて、(糞や周囲の底質中の)細菌群集への影響もあるのではないか、という疑問を調べた論文です。面白そうかなと思ったけど、あんまりパッとしなかった。ゴカイ自身への影響や腸内細菌は調べていない。

 

 

TSAに登録する際のmultifastaファイルの編集

NGSで読んだcDNAをデータベースに登録するとき、生配列はSRA(Sequence Read Archive)だけど、アセンブリ配列はTSA(Transcriptome Shutgun Assembly)という区分だそうな。

提出するfastaファイルは以下の形式に則っていないとダメだそうです。

 
>CLN01  <-- 1件目のエントリ名
ggacaggctgccgcaggagccaggccgggagcaggaagaggcttcgggggagccggagaa
ctgggccagatgcgcttcgtgggcgaagcctgaggaaaaagagagtgaggcaggagaatc
gcttgaaccccggaggcggaaccgcactccagcctgggcgacagagtgagactta
//      <-- 配列情報終了フラグ
>CLN02  <-- 2件目のエントリ名
ctcacacagatgcgcgcacaccagtggttgtaacagaagcctgaggtgcgctcgtggtca
gaagagggcatgcgcttcagtcgtgggcgaagcctgaggaaaaaatagtcattcatataa
atttgaacacacctgctgtggctgtaactctgagatgtgctaaataaaccctctt
//      <-- 配列情報終了フラグ

perlってなにそれ状態で、大量の配列を含むfastaファイルの一括編集に手こずったので、メモ。

自分がやらないといけない作業は、スラッシュ//を追加することと、エントリ名を変更すること。次の2つのサイトを参考にコピペして、若干の変更を加えれば出来ました。なお、MacBook Proテキストエディタにmi使用。

マルチファスタの改行をとる(perl、awk) - script of bioinformatics

bioperl - Replace Fasta header files using Perl - Stack Overflow

 

使用したコードの一部は以下のもの。コピぺしたものをそのまま使っているので、コードの意味はイマイチわかってません。

#!/usr/bin/perl#!/usr/bin/perl

# マルチファスタファイル

open (IN, "<multi.fasta");

# 出力ファイル

open (OUT, ">output2.fasta");

 

@IN = <IN>;

$a = 1;

for ($i=0;$i<@IN;$i++) { 

  if(@IN[$i] =~ />/){

       if(@IN[$i] =~ /DN([0-9]*)/) {   #各配列のヘッダが"DNXXX"になっている

             $b = sprintf("%06d",$a); #ヘッダの番号を6桁で表示"000001"のように

     my $f = " / /\n\>\ABC$b\n"; #">ABC000001"という表記

             print OUT $f;

             $a =$a +1 ;   #番号を1ずつ足していく

       }else{

       print OUT @IN[$i];

       }

  }else{

print OUT @IN[$i];

}

}

close(IN);

close(OUT);

 

 

論文のメモ: 遺伝子ネットワーク推定とAOP

マイクロアレイやRNA-seqのデータから遺伝子間の関係(ネットワーク)を推定し、有害物質によって引き起こされる悪影響adverse outcomesのメカニズムを明らかにしようという研究について。

 

「システム生物学アプローチによってNarcosisのCa依存メカニズムを解明する

Antczak P, White TA, Giri A, Michelangeli F, Viant MR, Cronin MT, Vulpe C, Falciani F, 2015, Systems biology approach reveals a calcium-dependent mechanism for basal toxicity in Daphnia magna, Environ Sci Technol, 49(18), 11132-11140.

昔2回ほど簡単に読んだけど、頭に残ってなかったので精読し直しました。

Narcosis(Basal toxicity)のメカニズムをシステム生物学的なアプローチで明らかにしたよ、という論文。疎水性の物質ほど毒性が大きい、それは疎水性物質ほど細胞膜のintegrityを阻害しやすいから、ということまで既存研究で分かっていたけれど、より詳細なメカニズムまでは明らかになっていなかったそうです。この論文は、2013年ESTのDaphnia magnaトランスクリプトーム解析論文のマイクロアレイデータ(26種の有機物質に24h曝露)用いて、曝露物質のlogKowと遺伝子発現、曝露物質の物性との関係を調べることによって、その詳細なメカニズム理解に迫ったものです。細胞膜でのCa輸送阻害がnarcosisのMolecular Initiating Event(MIE)ではないか、というのが結論。

Ca関係のpathwayが怪しいと見做すきっかけになった結果は、logKowと発現データの相関(Significance Analysis for Microarrays; SAM, Table S6)?色々やっているけど、肝心の結果の記述はあっさりしてます。Ca阻害がMIEだという仮説の検証のため複数の追加実験をおこなっていて、投げっぱなしでないのは好感が持てます。

イントロ読んだ時は、全自動的なデータ解析でAOP(Adverse Outcome Pathway)を構築するのかと思ったけど、意外と泥臭いことやってました。

 

AOPリバースエンジニアリング

Perkins EJ, Chipman JK, Edwards S, Habib T, Falciani F, Taylor R, Aggelen GV, Vulpe C, Antczak P, Loguinov A. 2011. Reverse engineering adverse outcome pathways. Environ Toxicol Chem 30(1): 22-38.

上の論文は、この総説?を先に読んだ方が理解しやすいかも。Ankleyら(2009, Aquatic Toxicology)のファットヘッドミノーのマイクロアレイデータを用いて、ネットワーク解析をおこなった論文。RのminetパッケージとSoftware Environment for Biological Network Inference(SEBINI)を使って、ARACNeとCLRで解析。

上のAntczakら(2015)もそうだけど、遺伝子発現データだけでなくadverse outcome(AO)データ自身もネットワークに組み込んでいるのが面白い。この論文では、繁殖能低下の代わりにtestosteronレベルをAOとしてます。AOと関連の深いpathwayを探索するという目的に適している方法だと思います。

データ解析の結果を一人歩きさせないよう述べた次の文は大事。"these results must be evaluated by both leveraging preexisting knowledge of the biological system and targeting follow-up experiment to explicitly test the hypothesis generated."