「侵略的ヨコエビになる方法:生活史形質の比較」
Grabowski M, Bacela K, Konopacka A. 2007. How to be an invasive gammarid (Amphipoda: Gammaroidea)–comparison of life history traits. Hydrobiologia 590(1), 75-84.
ヨーロッパにおける旧ヨコエビ亜目を在来種・外来種に分けて、その生活史形質を比較した総説的な論文。Breeding female sizeやBrood size(一回当たりの産仔数)、繁殖期の長さなど。外来種で継続的な繁殖に成功している種は、brood sizeが大きかったりや人為汚染に対する耐性が高かったりする傾向にあるとのことです。
ただ、考察に書いてあるけど、例えばこの論文で在来種扱いだったG . pulexはアイルランドでは侵略種と考えられているそうで、話はそれほど単純ではなさそう。あと、捕食(or 被食)様式はこの論文で解析の対象ではないけど、やはり重要だろうとのこと。
「非在来種ニホンドロソコエビの北米太平洋個体群における地理分布と隠蔽遺伝的多様性」
Pilgrim EM, Blum MJ, Reusser DA, Lee H, Darling JA. 2013. Geographic range and structure of cryptic genetic diversity among Pacific North American populations of the non-native amphipod Grandidierella japonica. Biol Invasions 15(11), 2415-2428.
日本では在来種であるニホンドロソコエビ。人間活動によって他国へ持ち込まれ、そこでは侵略的外来種として認識されてます。ミトコンドリアCOI領域607bpを読んで、個体群の遺伝的構造を調べてます。
北米太平洋側海岸で、2つの集団に分かれているとのこと。各集団内での遺伝的多様性は低いので、ニホンドロソコエビが持ち込まれたのは数回だとみなされてます。2つの集団間の差異は異種間並みに大きいそうです。ヨコエビは隠蔽種の話をよく聞く気が…。