a record of inner life

やったことや考えたこと・本・論文・音楽の備忘録。 特に環境科学・生態毒性に関して。

論文のメモ: NGS解析を想定したRNAの固定・抽出方法

 「非モデル生物におけるRNA単離ガイド

Gayral P., Weinert L., Chiari Y., Tsagkogeorga G., Ballenghien M., and Galtier N., 2011, Next‐generation sequencing of transcriptomes: a guide to RNA isolation in nonmodel animals, Mol. Ecol. Resour., 11 (4), 650-661.

以前ざざっと読んだ論文。必要に迫られて精読しました。

全39種の生物を対象に、いくつかのRNAの固定法・抽出法を試しています。ただ全然系統的に実験してはいません。蓄積したデータをまとめたという感じ。

抽出法は、カラムベースのものとフェロールクロロホルム法、そして両者の混合法。カラムは純度高いけど収量低い。フェノクロはその逆。以前読み落としていましたが、昆虫では(と言っても蝶・蛾・蟻しかそもそも試してない)、カラムでの収量がガタ落ちするそうです。なので昆虫はフェノクロをお勧めしてます。似た話はVidal-Dorschら(2016)も書いてました。

 

 

 「次世代シーケンシングのための カイアシからの高品質RNA抽出法

Asai S., Ianora A., Lauritano C., Lindeque P.K., and Carotenuto Y., 2015, High-quality RNA extraction from copepods for Next Generation Sequencing: a comparative study, Mar. Genomics, 24, 115-118.

簡易な技術報告。

カイアシのRNAの保存方法(液体窒素+TRIZol or RNA later)と抽出方法(TRIZol or カラム)を検討したもの。方法の良しあしはRNA量、純度、分解度(ゲル泳動 or Bioanalyzer)で判断。TRIZolで保存するとなぜか分解してしまうそうな。ただRNAlaterで保存+TRIZolで抽出はやってない。

 

 

 「クモのRNA保存法がde novoトランスクリプトームアセンブリに与える影響

Kono N., Nakamura H., Ito Y., Tomita M., and Arakawa K., 2015, Evaluation of the impact of RNA preservation methods of spiders for de novo transcriptome assembly, Mol. Ecol. Resour., 16, 662-672. 

クモのRNAseq。de novoアセンブリをする際に、色んな溶媒(エタノール、RNAlater、TRIZol)、色んな温度(-80℃~室温)、生物の破砕の有無、の影響を調べたもの。

結論は、RIN>6以上ならば、発現変動遺伝子の数やCEGMA(真核生物に保存されている遺伝子?)割合には大きな影響はないというものでした。そしてRINに最も影響するのは保存温度で、-20℃以下ならRIN>6は達成できたそうです。150bpペアエンドで2,000万リード読めばCEGMA completenessは80%以上になってます。

著者らの研究室HPに、論文の解説があります。